こんにちは。

西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの

小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

 

 

『自称・日本一インターネットで顔写真が使われているフリー素材モデル』の大川竜弥さんです。

こうして見ると櫻井幸一フォントがなんともリアルですね。

チョークで黒板に書いたっぽくしたかったのでテキストの透明度ちょっといじったりしてます。

さて。

未だによくお客様に聞かれるんですよ。

 

ブリーチしたらカラーってどれくらいもちますか?

 

これ美容師ならわかるでしょうし、ブリーチしたことある人もわかると思うんです。

でも…知らない人って我々が思っている以上に多いんですよね。

今回はそのあたりのことについて書いていこうと思います。

本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。

それではどうぞ。

ブリーチ毛にカラーしてもすぐ抜けるよ

まず結論から先に申し上げます。

ブリーチした髪の色持ちは1週間以内、長くても2週間です。

ブリーチ毛はすぐに色が抜けることは我々だいたい知っているわけですよ。

でも知らない方は「えっ!?」ってなりますよね。

こちらの記事で書いたように、髪は3層構造から成っています。

【超基本】今さら聞けない髪のお話①毛髪の構造

    日々お客様とお話しておりますと、皆さんけっこういろんなこと知っているんですよね。 今はネットで検索すればたいていのことは出てきます。 YouTubeでもインスタで…

 

このうち髪の大部分を占めるコルテックスにカラー剤の染料が定着する…と考えてください。

そしていちばん外側にあるキューティクルが髪の中身を守って染料も閉じ込めるというイメージ。

こちらもあわせてご参照ください。

【超基本】今さら聞けない髪のお話③髪が染まる仕組み

    前回のお話までで毛髪の構造のお話をしました。 今回は3回目。髪がどのようにして染まるのかをお話します。 あっ、このお姉さんフリー素材の方ですからね。SAKIさん…

 

アルカリカラーは配合されたブリーチ剤の効果でメラニンを壊して明るくする。

そのように書きました。

でもこのアルカリ剤、メラニンを壊すだけではありません。

アルカリ剤がイオン結合を切ってしまうことでコルテックスのタンパク質が流れ出てしまうんですね。

明るめのカラーほどアルカリ剤の配合が多いので、そのぶんタンパク質の流出も多いんですよ。

イオン結合についてはこちらに詳しく書いてあります。

【基本】今さら聞けない髪のお話②毛髪の4つの結合

    前回の記事に続いて毛髪の構造のお話です。 美容師にとっては超基礎ですが、一般の方にとっては超が付くほどでもない… っていうかたぶん聞いたことある人のほうが少…

 

コルテックスのタンパク質が流出すると、染料が定着する場所が減ります。

ついでにキューティクルもめくれてしまうので流出を止めにくくなります。

ブリーチはただ髪を明るくするための薬剤。

なので染料とかもなくひたすら髪を壊すようなもんです。

カラーが定着する場所もなく、閉じ込めておくカバーもない。

そりゃすぐ色が抜けますよね。

ブリーチを「手軽に髪を明るくできる薬剤」ってみなさん思ってませんか?

違いますからね。あれは『髪を壊す薬剤』ですからね。

「明るくなったから傷んだ」じゃないんですよ。「壊れたから明るくなった」わけです。

最近ケアブリーチとか流行ってますよね。

ダメージが普通にブリーチするよりも3分の1で済む的な。

でもブリーチはブリーチですよ。色持ちが格段に良くなるとかないですからね。

その薬剤がブリーチである以上そこは変わりません。

マホカンタしたところでザキはザキなんですよ。詳しくは下記参照。

ドラクエで説明する髪のお話【後編】

※前編はこちらからどうぞ   前回に引き続きドラクエです。 より雰囲気を出したい方のためにyoutubeで探してきた動画を貼ってみました。 どうぞ壮大で素晴らしい音楽とと…

 

なぜカラーは退色していくのか

基本的にはさっき書いた通りです。

コルテックスのタンパク質が流出して染料が定着しにくくなり、

キューティクルもめくれてしまうことで流出を止めにくくなってしまう。

ただ、これ文章で書いてもなんかわかりにくいですよね。

なので絵に描いて図解することにしました。

『コップに入ったジュース』と『ストロー』で例えてお話します。

 

 

これは通常のカラーした毛の場合をイメージしたものです。

普通の髪の毛は『中にスポンジが入ったストロー』だと考えてください。

まぁ…実際にはそんなものあり得ないんですけども。

で、このスポンジ入りストローをジュースに浸して、それから引き上げる。

このジュースをカラーだと思ってください。

そうするとスポンジが吸ったジュースがポタポタと滴っていきますね。

こうして少しずつ、じんわりとジュースはストローから抜けていきます。

ストローの中のスポンジ(=コルテックス)がジュースをたっぷり吸っていますので、

中身はしっとりしたまま徐々にジュースの色が抜けていく感じですね。

 

 

こちらがブリーチ毛にオンカラーしたときのイメージです。

ブリーチ毛はストローそのものと思っていただくとわかりやすいですね。

中身がないんですよ。スポンジがない。

なのでジュースをストローに留めておくことができないんですよ。

ジュースの入ったコップにストローを入れて、上を指で押さえたまま引き上げる。

指で押さえているうちはジュースはストローの中ですが、

指を離したらジュースは全部勢いよく出てコップに落ちてしまいますね。

後に残るのはからっぽになったストローだけ。

ブリーチした毛にカラーするのも同じことです。

コルテックスがなくて染料が留まれないので、染めてもすぐ色が抜けてしまう。

そしてこれ結構大事なことなんですけど…

色が抜けた後の毛は中身がからっぽの状態で色素がない。要するに金髪になります。

 

 

「ブリーチ オンカラー」「アッシュグレー」「ミルクティーベージュ」で検索しました。

人気のあるかわいいカラーがいっぱいです。

どこのサロン様もみなさん本当にいい仕事してますよね。

これ見たら女の子は「かわいい!私もこれやりたい!!」って思いますよ。

でも自分は強く訴えたいんです。

これ写真ですからね。

当たり前すぎることですが…写真なんですよ。

写真はその人の時間の『一瞬』を切り取ったもの。

だから当然この写真に写ってるモデルさんたちの髪色がずっとこのままなわけないんです。

この人たちはカラーした当日、いちばんきれいな状態を撮ってるんですよ。

モデルさんたちが一生その『一瞬』に閉じ込められているなんてあり得ないじゃないですか。

同じ人間なんですから。なので時間が経てば色は抜けます。

このモデルさんたちもたぶん1週間もしたらほぼ金髪みたいになってますよ。

 

ブリーチしたら色が長持ちすると思ってました~

 

今でもこのように言うお客様に遭遇します。

ブリーチすることで黒とか茶色が消えるから、きれいに発色して長持ちするのかなと。

そう考えていらっしゃるようです。

逆ですからね。すぐに色抜けますよ。

 

色持ち良くなるやり方って何かないの?

これだけさんざん「ブリーチ毛は色抜けが早い」と言い続けてきました。

だったら少しでも長く色が持つやり方ないんですか?って思いますよね。

あります。

 

なりたい仕上がりよりも濃く染める

どうせすぐに色は抜けてしまうのですから、抜けることを見越して最初から濃く染めておく。

これかなり有効です。

 

美容室でこういうの見たことありますよね。レベルスケールって言います。

数字が小さいほど暗く、数字が大きくなるにつれて明るくなる。

このレベルスケールで言うところの14以上がブリーチです。

ブリーチをしたら14レベルより明るくなります。

なのでブリーチにオンカラーしてもいつかは14レベル以上に戻ってしまうんですね。

逆に言えば14よりも遠くからスタートしたほうが色が長持ちするんです。

9と5では5のほうが14よりは遠いですよね。

なのでスタートが濃い(数字が小さい)ほうが色が抜けるまでの時間を稼げます。

ですが『色が濃くなる』ということは『色が暗くなる』のと同じです。

色素が濃くなるから暗くなりますし、色素が薄くなるから明るくなるんですね。

ブリーチして明るくしたいのに暗くするんですか?って思いますよね。

その通りです。色持ちだけを考えたらそのほうがいいからです。

結局は『ちょうどいい』のタイミングをどこに持って来るかなんですよ。

染めたてからちょうどいい染まり具合を狙うならそれも結構ですが、そのぶんすぐ色が抜けます。

最初は暗いなと感じても、退色していく途中でちょうどよくなってくるのを楽しむか。

基本この二択です。

やっぱりどうしても暗いのは嫌だなと思われるんであれば、

そのカラーをしたい理由のイベントの直近に染めることをおすすめします。

だいたいみんな「学園祭がある」「ライブがある」「旅行に行く」その前に染めますから。

その日程が5日以上先であれば…せっかく染めてもそのきれいな色たぶん消えてますよ。

直前に来るか、濃いめに染めておくか。どっちかをおすすめします。

 

髪を濡らさない、洗わない

いや、ずっとそれは無理ですし不潔なのはよくわかります。

でもせめて染めた当日だけはお願いしたいです。

普通のカラーだったら正直あんまり気にしなくてもいいと個人的には思ってます。

染めたその日にシャンプーしても別にいいんじゃないのかと。

が、ダブルカラーは別です。

キューティクルは濡れると開きます。染料閉じ込めてたのに濡れるとゲート開いちゃうんですよ。

ゲートが開くイメージ写真。

このあと馬たちはものすごい速さで疾走していきます。

同じようにせっかくゲートインした染料がゲートを開けたばっかりにすごい速さで出走していきます。

シャンプーなんかしたらもっと抜けます。もはや何のためにカラーしたのかわかりません。

第4コーナーもクソもありません。あとは排水溝に一直線です。

スタートの時点で最後の直線、全染料が髪から逃げ切って排水溝にゴールイン。

ここまでの文章はぜひ杉本清アナっぽく読んでいただけますとより一層楽しめます。

杉本さんはクソとか汚い言葉使わないか。失礼しました。

 

まぁ…競馬場今まで一度も行ったことないんですけどね。

ダブルカラー当日はシャンプーも髪を濡らすのも控えていただいたほうがいいかと思います。

 

カラーシャンプーを使う

ミルクティーベージュとかであれば紫シャンプーで黄色みを飛ばすなどのように、

最近いろんな色のカラーシャンプーがありますね。ピンクとかシルバーとか。

カラーシャンプーで洗う、カラートリートメントを使うなどで色持ちは良くなります。

染めるまではいかなくても染料が髪に残るので、退色が抑えられるんですね。

ハイトーンカラーをされる方にはぜひおすすめです。

 

おわりに

ブリーチした髪に染料が留まることがいかに難しいかを書いてきました。

それをどうにかして先延ばしするやり方も少し書きました。

それでも色は抜けるんですよ。1週間前後で。がんばっても2週間。

もし美容室に行く周期が2ヶ月のお客様なら、最初の1週間はきれいなんです。

そこから先の残り6~7週間金髪ですからね。何もしなかったら。

こう言うとみなさんブリーチするの気が引けるんですよ。

 

とはいえ、発色のきれいさは通常のカラーでは出せないものがあります。

これがリスクがあっても試したくなる最大のメリットです。やっぱりきれいですもん。

全頭ブリーチからのオンカラーも、ハイライトやインナーカラーも依然として人気があります。

試してみたいと思われるお客様はもちろん歓迎いたしますよ。

でも、ブリーチする前にメリットとデメリットはきちんと把握していてほしいんですね。

あとで「こんなつもりじゃなかった」ってならないように。

それは我々美容師のお客様に対する説明責任だと思っています。

そこまできちんとすることがお客様に対する誠意ですよね。

 

とりあえず最後に中山競馬のG1ファンファーレを置いておきましょうか。すぎやまこういち大先生の。

これを流すと明日もきっとやる気が出ます。それでは。

 

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