こんにちは。

西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの

小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

今回のタイトルのようなご経験をされた方…いらっしゃるのではないでしょうか。

なんていうか、こう…緑って言ってもオリーブブラウンとは違う、濁ったような汚い色味。

よく「ドブ川の色」「ドブみたいな色」って表現を聞きますね。名前からして汚い。

ちなみにそういった色をした川として淀川を挙げる方がときどきおられるのですが、

神奈川県出身として言わせていただくと湘南の海は淀川と同じ色をしています。

関西の人って東京には反感を持つのになぜか神奈川県に対しては総じて好感を持ってますよね。

街がおしゃれできれいな海もあっていいよねみたいなイメージなんだと思うんですけども、

湘南の海を実際に見てもなおきれいだと思う人は残念ながら目が死んでいます。

湘南の海がきれいに見えるのは遠くから見たときとアニメの中だけですよ。

横須賀の海もそんなきれいじゃないけど、鎌倉とか藤沢よりは全然マシだと思ってます。

いや、マジで湘南くっそ汚いから。

江ノ島の橋んとこから海見てみたらいいよ。完全に色が緑だもん。

あんな緑色の海に喜んで入るのはサーファーか埼玉県民だけです。

サーファーさんはね、別にいいんですよ。

いい波を見たら入りたくなるのがサーファーってもんだと思うんでね。

神経を疑うのは埼玉県民のほうですよ。よくあんな海に入るよなって。

海のない埼玉から来たパリピみてえな奴らがドブ色の海ごときでテンションが上がるわけで、

そこでキャッキャしてるところを『月曜から夜更かし』の格好のネタにされるわけですね。

そんな湘南の海みたいなドブ色グリーンにしないためにはどうしたらいいのか…の話です。

本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。

それではどうぞ。

 

なんでアッシュ系カラーは人気なのか

 

アッシュ系のカラーって根強く人気ありますよね。

カラーはざっくり暖色系と寒色系に分けられるというのは多くの方がご存知かと思います。

美容師は一般的に暑い時期に寒色を、寒い時期に暖色をお勧めすることが多いですね。

春夏に涼しげな寒色系カラーで染めて、秋冬に温かみのある暖色系のカラーにするっていうように。

これまではそういう傾向だったのですが…ここ数年そういったものは崩れているように感じます。

もはや季節関係なくアッシュ系のカラーって年中人気あるじゃないですか。

皆さんもホットペッパーとかでおそらく見たことあるはずなんですよ。

【赤み消しカラー】【赤み撲滅カラー】【赤み抹殺カラー】みたいな、なんかそういう文言。

だんだんと言葉が過激になってますよね。

煽ればいいってもんじゃないのに、言葉で釣るみたいなのが美容業界の大変よろしくないところ。

『究極の髪質改善』とか『もはやブリーチは傷まない時代』とかね。

もうさ、やめようよこういうの。ほんとに。

高級店や一般店が入れたゴリゴリの煽り文句付きで自信満々のサムネ画像を作って載せても、

そこで釣れたお客様は結局それを持って低価格店とかプチプラサロンに行くわけで、

そのへん考えると「誰も幸せにならないんじゃないの?」感がすごいんですよね。

話それましたね。すいません。

で、今回の話で言えばその…赤みを悪者にする傾向なわけですけれども、ではなぜそうなったのか。

簡単に言ってしまえば赤みを消すことで透明感のある髪色が作れるからですね。

 

実は黒髪って赤いんですよ。黒に見えてても顕微鏡で拡大していったら赤なんです。

我々の髪が黒いのはメラニン色素が入っているからですけれども、このメラニン色素が赤いんです。

ほとんどの日本人の髪色は最初からたっぷり赤みがあると考えていいと思います。

この『赤み』が強く残っているうちは赤茶っぽいブラウンになってしまうんですね。

だから金髪にしてもブリーチ力が足りないとオレンジっぽくなってしまう。

自分が高校生ぐらいの頃はいわゆる「茶髪」という単語がありまして、

カラーをしている人をそう呼んだりしていました。今の若い子らは言わないだろうな。

あの頃は色味が今と比べてあまり出なかったんです。

どんなカラーで染めても結局は茶色。

そんな茶髪の時代が長らく続いたことで、ついに日本人は茶髪に飽きたのです。

そこで赤茶を薄める、消すためにアッシュ系のカラーが少しずつ注目され始めたのですが、

前はそういう色味のカラーを「外国人風カラー」などと言って売り出したりしてましたよね。

外国人…具体的に言えば北欧の白人のようなクリアな透明感のある髪色のイメージ。

ああいった透明感を出そうと思ったとき、日本人の髪が持つ赤い色素は邪魔なのです。

赤みを消すことで生まれる寒色のクールで洗練されたかっこよさ。

赤みの強い黒髪ベースの日本人には出しにくい色味だからこその憧れですね。

こうして『アッシュ=おしゃれ』のイメージが定着して広まっていったんだと思います。

そういった透明感ある色味を出しやすくするカラー剤も続々と開発されていきました。

イルミナ、アディクシー、スロウ、エドル…皆さんもどれかしら聞いたことありませんか?

自分が昔勤めていた美容室でもそのあたりのカラーは追加料金が発生するシステムでした。

今も普通によくありますよね、そういうサロンさん。

お読みの皆様も行ったことのある美容室できっと言われたことあるはずなんですよ。

 

「アッシュ濃く入れるならこちらのカラーの方がきれいに出ますよ!
 ご予約のメニューに2000円プラスでいけますけどいかがですか?」

 

だいたいの美容室はそのあたりのカラーを普通のカラーとは別物扱いしていらっしゃるようで、

そうやってメニューアップを図るのがもう本当に『美容室あるある』ですよね。

もちろん、ハイライトとかインナー入れるとかなら料金が変わるのも理解できますよ。

でもやりたい色味で染めたいだけなのに追加料金が発生するのってなんか腑に落ちない人いませんか?

なのでRicosでは薬剤の種類が違っても料金は変わらない設定にしてあります。

もちろん白髪染めでも追加料金は発生いたしません。ご安心ください。

なるべくわかりやすい料金設定を心がけております。

薬剤で料金が違うみたいな複雑な設定は自分は好きではないのでね。

ただ、薬剤の使用量の違いからロング料金は頂いておりますのでそこはご了承くださいませ。

 

色相環と補色の関係

今回の記事のタイトルにも書きましたけれども、

 

「どうしてあなたの髪はアッシュにしたかったのに緑っぽくなってしまったのか」

 

この話をするには色の仕組みについて触れることが必要です。

この話こそが避けて通れない本題なんですよ。

皆さんは美容室で、あるいは学生のとき美術の時間にこんなものを見たことはありませんか?

 

 

似た色を順々に並べていって輪っかにしたもの…色相環ですね。

この並び順で2つ先ぐらいまでの色なら混ぜても馴染んだきれいな色味になります。

赤と黄色を混ぜたらオレンジができるとか、黄色と緑を混ぜて黄緑ができるとか。

ではお互いに向かい合った色どうしを混ぜたらどうなるでしょうか?

向かい合った色はそれぞれその色味の正反対の色味です。最も遠いところにある色ですね。

なので混ぜた場合はお互いの色を打ち消し合います。

この関係性にある色のことを補色と呼びます。美術でやりましたよね、きっと。

絵の具で補色を混ぜたら…黒っぽいグレーのような茶色のような、なんか濁った色になりますね。

混ぜたら汚くなってしまう補色ですけども、混ぜずに並べて使うと対照的で大変目立ちます。

お互いに正反対にある色なので視覚的にとても効果的な対比が生まれて人目を惹くんですよ。

けっこうこの組み合わせって皆さんも目にされていることが多いはずです。

例えばならこれとかこれ

オレンジならこれとか、黄色ならこれとかこれ…っていう具合に。

で、絵の具だったら混ぜたら濁ってグレーになってしまうこの補色というもの。

それが絵の具ではなくヘアカラーの場合だとどうなるでしょうか?

 

「お互いの色味を打ち消し合う」という性質は絵の具と変わりません。

ただ、濁ったグレーになるのではなく元々の髪色の色味を消してくれるという作用になります。

前項にて【黒髪は赤い(=ほとんどの日本人の髪色は赤みがある)】と書きました。

それを踏まえて、改めてさっきの色相環を見てみてください。

髪の赤みを消そうと思った場合は赤の反対側にある色味で染めると消せるわけです。

もうおわかりですよね。

 

  • の反対色は青緑(ヘアカラーではマットアッシュ
  • オレンジの反対側は(ヘアカラーではアッシュ

 

このあたりの色味がいわゆる【赤み消しカラー】【赤み撲滅カラー】【赤み抹殺カラー】です。

それは赤系の色味の補色にあたる色だからというわけなんですね。

同様にヘアカラーで補色を利用しているものが『金髪の黄色み飛ばし』です。

金髪を白っぽくしたい人とかがおられるわけですよ。

そういうときに皆様…特に若い子たちが使うものとして紫色のカラーシャンプーがあります。

よく言いますよね、ムラシャンって。

例えばこの…もうね、ネーミングからしてまんまですよ。グッバイイエローって。

シュワルツコフのグッバイシリーズはラベルからしてわかりやすいですよね。

グッバイイエローは黄色に紫の✕印、グッバイオレンジはオレンジに青の✕印。

そういった色素が入っててベースの髪色にグッバイしますよっていうのが視覚的にわかりますから。

ムラシャンはもちろん美容室でもお買い求めいただけますが、ドンキやamazonでも買えますね。

このように補色を利用することで不要な色味をキャンセルしてご希望の色味を発色させられます。

世の中いろんな美容師いますけどね、みんなちゃんといろいろ考えてるんですよ。

  

狙った色味を作るのに必要なもの

ここまで補色を利用することで希望のカラーに近付けていけるというお話をしてきました。

だから皆さんも気付き始めてると思うんです。

 

「1色で染めたらダメなんじゃないの…?」って。

 

必ずしもそうではありません。

もちろん単色でもご希望の色味によってはきれいに染まることもあります。

でも残念ながら「その通りです」と答えざるを得ないパターンもよくあります。

その最たるものが例の…この記事のタイトルのやつなわけです。

アッシュにしたかったのにドブ色グリーンになってしまう人はほぼ確実にブリーチ毛です。

金髪なんですよね。黄色。

改めて色相環を見ながら考えてみましょう。

黄色い色素を持つ髪に青い色素を足したら…その間の色になります。

緑ですよね。ちょうど間にある色。

金髪にアッシュを入れてドブ色グリーンになってしまうのはすごく自然なことなんですよね。

そうは言ってもみんな誰しもそんな色になりたくないわけです。ではどうするか。

 

補色をちょい足しするんですよ。

この『ちょい足し』っていうところがすごく大事なんですよね。

補色の分量を増やし過ぎてしまうと何がメインなのかわかんなくなって別の色味になるので…。

例えばブリーチ毛をアッシュ系カラーにしたい場合、もちろんメインで使う薬剤はアッシュです。

でもそれをアッシュ単色で染めるんじゃなくて、補色の紫をちょい足ししておく。

そうするとちょい足しした紫が金髪の黄色みを抑えてくれてアッシュがきれいに発色してくれます。

別のパターンであれば…例えばブリーチ毛をピンクにしようとする場合も同じですね。

金髪にピンクを入れると黄色みに寄ってしまってオレンジみのある赤になったりしますけれども、

それもあらかじめピンクの薬剤に紫を混ぜておくことで黄色みを抑えられてきれいにピンクが出ると。

そういう使い方を我々美容師はお客様の髪を診てあれこれと考えているわけです。

 

ここまではブリーチ毛ベースの話でしたけれども、普通は皆さんの髪は黒か茶色ですよね。

なのでベースが黄色ではなく赤なはずです。

そういう人の髪をきれいにアッシュ系で染めるにはどうするか。

ひとつは『一度で仕上げずに何回か回数を重ねて施術する』という考え方があります。

ここまでに書いてきたように、補色にはベースの色味を打ち消す効果がありますね。

赤茶色の髪を補色のアッシュで染めると、確かに赤みは抑えることができます。

ただ、それだとニュートラルなブラウン…普通に茶色で仕上がるケースもよくあるわけです。

それは『髪の赤みが強い』か『入れたアッシュの色味がまだ弱い』のどちらかだと考えられます。

これは別に失敗というほどのものでもない、どこのサロンでも割とよくある話ですけども、

こういったお客様をアッシュ系カラーにしていくには再度(あるいは数回)染めたほうがいいです。

もちろん同じ日にダブルカラーという形でやるのは時間的にも髪としても負担が大きいので、

何回かご来店していただいて少しずつアッシュ系に寄せていくというやり方がいいと思います。

一発で仕上げないで徐々に髪をご希望の色味に育てていく、という感覚ですね。

その際、初めの2回ぐらいは来店周期をちょい短めにしたほうがよりご希望の色味に近付けます。

これは染めた色素が抜けきってしまう前にまた染めることで色素を蓄積させていきたいからです。

 

 

仮に2ヶ月で色素が抜けきってゼロになってしまうとします。説明の為なんで仮の話ですよ。

で、毎回2ヶ月ペースだと次回のカラーのときには前のカラーの色素がもう残ってないわけですね。

これがもし1ヶ月半でご来店いただけると前回の色素が10%ぐらい残ってたりしますので、

最初のカラーでの染料の濃さを100%としたら次回は110%、その次は120%スタート…というように、

だんだんと染料が蓄積していってご希望の色味が発色しやすくなります。

なのでもしやりたい色味が決まっているのであれば、こういう染め方をすると色持ちよくなりますよ。

でも「そんなに何度も染めるんじゃなくて少ない回数で早く希望の色味になりたい」という場合、

染料をめっちゃ濃くして染めるという考えもあります。

たいていのカラー剤には6レベルだの12レベルだの…明るさが違う通常のカラー剤の他に、

ただ濃い染料が入ってるだけで明るさが選べないカラー剤というものがあります。

アクセントカラーとかトーンコントローラーとか、メーカーによって呼び方は様々ですけれども、

要するに足りない色素を補ってちょい足しする用の濃いめのカラー剤ですね。

これを混ぜてガツンとベースの色味を打ち消してしまえば希望の色味を発色しやすくなります。

ただし、濃いめに色素が入るので仕上がりが暗くなりやすい傾向にあります。

なので明るめだけど色味も欲しい場合はやっぱりブリーチしてオンカラーというのがいいのかなと、

自分はそう思います。ブリーチが嫌な場合は自然な退色を待って明るくするのも手ですけどね。

なんにせよ狙った色味を作るために必要なものは明確な基準とそれに基いたレシピです。

その明確な基準になるものが色相環なんですよ。

今のベースカラーがどこにあって、目指す色味はどこなのか…

そこがわかればどの色味を足せばいいのかも見当がつきやすいんですよ。

だからこの色とこの色を使うよっていうレシピも書けるわけです。

一般の方がセルフカラーするときにそこまで考えることってほぼないんじゃないかと思うんですよね。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

ここまでに書いたことを市販の薬剤を使ってセルフでやろうとするの…めんどくさくないですか?

わざわざちょい足し用にカラー剤買っても残ったやつ保管するのもなんか微妙ですし、

それをわざわざデジタル表示のはかり使って計量して調合するのも手間でしょうし、

そうして作ったカラーが全頭塗り終わる前に使い切っちゃったらまた調合するのも大変ですよね。

当たり前の話ですけど美容室にはカラー剤がたっぷりあります。

だいたいのサロンさんでは色味も各種取り揃えておられるはずです。

髪のダメージなどに応じて薬剤の強さも調節したり、前処理剤なども適宜使用したりもしますよね。

そのへんの手間を美容師に丸投げしたらあれこれ考えて希望するカラーに近付けてくれるわけです。

これがホームカラーにはないサロンカラーこその魅力だと思うんですよね。

なので由比ガ浜や片瀬東浜あたりの何入ってんだかわかんない超絶きったない湘南の海みたいなね、

ああいうドブ色グリーンになるのやだなーって人はですね、ぜひ美容師に相談してみてください。

当店にお越しいただけるのも大歓迎ですし、いま通っていらっしゃるサロンさんでも構いません。

お客様のご希望を伺ってできる限りそれを叶えていきたいと思っております。

最後に念を押して関西の皆様にお伝えしておきますけれども、湘南の海は入るところではありません。

眺めて楽しむものです。眺めたり写真撮る分にはめっちゃきれいでフォトジェニックなので。

個人的に湘南の海沿いを訪れるおすすめの時間帯は夕方だということも併せてお伝えいたします。

あのあたりから日が沈む西側を見たら必ず富士山があるんでね。きれいですよ。

 

 

関連記事

髪のこと
「パーマや縮毛矯正をした日にシャンプーしないで、って言われるのはどうして?」に答えます
髪のこと
カラーや縮毛矯正の『リタッチ』と『全体』はどっちがいいか、の話
お店のこと
Ricosのメニューに【髪質改善】がない理由