こんにちは。

西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの

小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

薬剤を使うメニューでハケを使って塗布するメニューありますよね。

カラーと縮毛矯正です。

パーマは主にスポイト使って塗布するので全体についちゃうのは致し方ないのですが、

ハケで塗るメニューは「根元だけ(リタッチ)」「毛先まで全部」という選択肢がありますよね。

これ、どっちをどうしたらいいかって思うお客様多いと思うんです。

今日はそのお話をしていこうと思います。

本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。

それではどうぞ。

そもそも美容室に行くペースはどれくらいがいいのか

根元だけリタッチの話をするならまずここからですよね。

 

「どれくらいのペースで美容室に行ったらいいですか?」

 

この…お客様との会話で本当によく出てくる話題。

結論から言いますと期間を定めて言うような具体的な決まりはありません。

敢えて言うのであれば『我慢ができなくなったとき』でしょうか。

これは感じ方の問題なので大いに個人差があります。

2週間経ってほんのちょっと根元から新生部の髪が見えただけで染めたくなる人もいれば、

4ヶ月とか半年ほっといてもそんなに気にならない人も実際いるんです。

だから「いつ」っていうのは自分としては特にないと思っています。

 

ただ、カラーできちんときれいに染めても髪は根元から毎日伸びていきます。

そのスピードにも個人差がありますけどだいたい1ヶ月で1cm前後。

なので染めてから1ヶ月経てば根元には1cmの染まってない地毛が出るわけです…

が、ここで大事なのは「てっぺんに分け目がついてたら両側に1cmずつ地毛がある」ので、

実際に上から見たら1ヶ月経ったら分け目には2cmの地毛が見えることになるわけですね。

黒髪だったら2cm幅のプリンに、白髪なら幅2cmの地肌と同化した白い根元が出てくるんです。

その倍の期間…おおよそ1ヶ月半~2ヶ月経つとその長さもおおよそ倍になります。

…これくらい根元から地毛が出てくるとほとんどの人は「そろそろかな」と思い始めますが、

実際にはだいたいのお客様はそこからもう少し我慢します。

「そろそろ行かなきゃな」から実際に予約入れるまで2週間ぐらいのタイムラグがありますね。

基本的にはお客様ご本人が我慢できなくなったタイミングでいっこうに構わないと思うのですが、

お客様のきれいを保つことを考えたらカラーはおおよそ2~3ヶ月のペースがいいかと思います。

 

ちなみにこれはカラーの話。

縮毛矯正だと当然もっと間隔は開きます。

お客様の髪のクセがどれくらいかで次回やるべきタイミングは変わってくるのですが…

新しく生えてきた部分がある程度の長さにならないとやる意味があまりないんですよね。

縮毛矯正ってだいたいどこのお店でも高額なものから探したほうが早いメニューですし、

強いアルカリ薬剤や髪が傷んでる人には髪にかかる負担も大きいので、

カラーと比べてそんなに頻繁にやるものではないんです。料金的にも髪的にも。

クセが弱い人で年に1回、普通の人で半年に1回、クセ強い人でワンシーズンに1回でしょうか。

 

リタッチって何のためにやるの?

そういう気になる根元だけに薬剤を塗布して施術するのがリタッチなのですが、

「どうせ美容室に行くなら全部やってほしい」といったお声をときどきいただきます。

これについては後ほど項を改めて詳述します。

なので「何で根元だけ?」って思っていらっしゃるお客様も少なからずおられると思います。

別に我々がやるのめんどくさがってたり、薬剤ケチろうとしてるわけじゃないんですよ。

きちんとした理由があります。

 

カラーの場合

「根元が伸びてきて気になっちゃうけど、まだ毛先はそんなに気にならないんですよね」

「前回やってもらったこのカラー気に入っててしばらく同じで行きたいんです」

美容師をしてますとお客様からこういうお話を日常的に聞きます。

毛先の色が気に入ってる(または気にならない)ならそこにわざわざ薬剤を塗る理由もありませんし、

毛先に薬剤がつかなければダメージはほぼゼロです。

それならリタッチのほうがいいですよね。

特に白髪染めのお客様。

毎回全体染めしてたら根元より毛先のほうが必ず濃く黒くなります。

根元は新しく伸びてきた髪を染めるので、いつでも染める回数は1回目ですよね。

でも月1ペースで全体を染めてたら…毛先1cmごとに色の重なる回数が増えていきますよね。

2回目、3回目、4回目…髪が10cmあったら毛先なんて10回目のカラーですよ。

10回も白髪染めのカラー重ねたらそりゃ毛先真っ黒ですよ。

こういう人ほど…ある日何を思ったか「毛先黒いから明るくしたい」とか言い出すわけです。

そんだけ色素重なったら明るくとか基本的に無理ですからね。

10回分のカラーのダメージもあるからブリーチもうかつに使えない。

全体染めは毛先の色が退色して明るくなってからでも全然いいんですよ。

 

縮毛矯正の場合

理由は上記のカラーの場合とほぼ同じなのですが…縮毛矯正の場合はよりダメージ的にシビアです。

縮毛矯正の薬剤は一般的に強く、髪に大きな負担がかかります。

薬剤の強さについては下記もご参照くださいませ。

ドラクエで説明する髪のお話【後編】

※前編はこちらからどうぞ   前回に引き続きドラクエです。 より雰囲気を出したい方のためにyoutubeで探してきた動画を貼ってみました。 どうぞ壮大で素晴らしい音楽とと…

また、施術に高温のストレートアイロンを用いますので熱のダメージも加わります。

既にまっすぐになっている髪を改めてまっすぐにする施術をやる意味ってないんですよ。

やらなくてもきれいにまっすぐなので。

既に縮毛矯正してある部分に縮毛矯正するのってただ傷ませてるだけですからね。

毛先のダメージがとても大きいならなおさら根元だけを勧めます。

皆さん気になるのは新しく生えてきた根元の髪なんですよ。ご自身のクセのある根元の髪。

そこが縮毛矯正で延びれば全く問題なくきれいなストレートヘアになれるんですよ。

既に縮毛矯正されてるお客様が毛先まで縮毛矯正やる理由は正直言ってほとんどないですね。

 

全体に施術する理由って?

とは言っても全てのお客様がリタッチでいい…というわけではもちろんありません。

リタッチを勧めるのは我々美容師の考えではそのほうがお客様にとって良いと思う場合だからで、

お客様によっては全体に薬剤を塗布したほうがいい場合も当然あります。

 

カラーの場合

  • カラーチェンジをしたい
  • 過去数回リタッチで染めてきてしばらく全体染めしてない
  • 新規で来られたお客様

この3つです。

いつもとは違う色や明るさにしたいってご希望には毛先までカラー剤を塗らないといけません。

根元と毛先で色違っちゃったらおかしいですからね。

毛先の色が良くて何回かリタッチで染めていたお客様も、時間が経つと毛先は退色していきます。

だんだんと明るく…キンキンとした黄色っぽい色味になったり、

あるいは髪の持つ元々の赤みが出てきて明るいオレンジっぽい茶色になったりしますよね。

そういう方に全体染めはお勧めしています。

 

それなら新規のお客様はなぜリタッチではなく全体染めがいいのか。

『お店によって使っているカラー剤が違う』

『前回のレシピ(使用した薬剤の種類、調合の比率)が正確にわからない』

理由を挙げるならこの2つですね。

美容室は無数にありますし、美容の商材メーカーもものすごくたくさんあります。

正直言うと新規のお客様でも見た感じでなんとなく既染部の髪色に合わせたカラーを作れます…

これは自分がカラーうまいからとかじゃなくて、たぶん美容師ならみんなできます。

そうは言っても推測なんですよね。

「たぶんこれぐらいだろう」っていう。

前回のカラーのレシピは基本的には前回担当したスタッフしかわかりません。

きちんとカルテに記入してあるサロンならそこのスタッフ誰でも再現できますけど。

それを新しく行った美容室で前回と全く同じように、って求められてもできないですよ。

おくすり手帳のカラー版…みたいなものをお客様が持ってるわけじゃないですからね。

行った先のサロンが前の店で取り扱ってたメーカーの薬剤入れてないことも普通にあるので、

中途半端に根元だけ似せて染めるよりは、一度全体染めしたほうがきれいに仕上がります。

なので新規のお客様には、最初のカラーは全体染めをお勧めしています。

 

縮毛矯正の場合

  • 初めて縮毛矯正をする
  • 前回の施術が何年も前で縮毛矯正した部分がもう残っていない
  • 前回の縮毛矯正が弱くてクセが延びていない

既に縮毛矯正をした人は基本的にリタッチを勧めるので、全体に施術したほうがいいのはこの3つ。

まず初めて縮毛矯正をやる場合は当然毛先まで全体にあてます。

前回の縮毛矯正がだいぶ昔のことすぎて髪のどこにも残っていない場合も初めての人と同じです。

 

問題は前回弱くてクセ延びてないパターンの人。

美容師というのは…縮毛矯正をご希望のお客様の髪のダメージが大きいとちょっとドキドキします。

もちろん恋愛的な心ときめくドキドキなんかではなく、緊張して注意深くなっているわけです。

一般的に縮毛矯正の薬剤(特にアルカリ)は強くて髪にかかる負担が大きいことがほとんどなので、

毛先のダメージが大きいお客様が全体あててほしいって言うとちょっとビビるんですよね。

こういうときって安全な選択肢を選びたくなるのが一般的というもの。

弱めの薬剤をつけて時間も置かずにすぐ流しに行くケース多いと思うんです。

そうすると薬剤がきちんと効いてなくて毛髪内部の結合を切断しきれてなかったりするので、

がんばってアイロンで延ばしても結局元のクセが残ってました…ってなりがちです。

こういうお客様に対してもRicosでは髪の状態をきちんとチェックさせていただいて、

髪にやさしい薬剤を使用してできる限りお客様のサラサラストレートになりたいご希望に応えます。

 

ですが毛先に元のクセが延びきらずに残ってるお客様ってそれほど多くはないんです。

それよりも多いのが『お客様が前回の縮毛矯正が落ちたと勘違いしているパターン』です。

これけっこう多いんですよ。

お客様からしたら毛先がぼわっと広がって曲がってるから縮毛矯正が落ちたと考えがちですが、

大抵の場合は内側の髪の根元が伸びてクセが出てきてるだけなんですよね。

目に見える表面に動きが出てきたからクセが戻ってきたように思うだけで、

表面の髪の内側にも髪は重なってますよね。さらにその内側にもまた髪がある。

表面の髪の下には内側の髪の根元があるんです。すごく当たり前のことですけど。

その内側の髪がうねってたら、その上に乗る髪は浮くんですよ。浮いて膨らむ。

そうやって内側にボリュームが出ることで表面が押し上げられて動きがつくんです。

なのでその場合きちんと説明した上でリタッチをおすすめしています。

このパターン…本当に多いです。

最初は「えー」みたいな反応でも、リタッチで縮毛矯正してあげると皆さん喜んでくれます。

 

なんでそんなに全体にやりたがるんですか?

こうやってきちんと説明しても、それでも全体の施術を希望されるお客様はいます。

「どうせ美容室に行くなら全部やってほしい」といったお客様の声ですね。

数は少ないですが必ずいます。

ただ、関東と関西の両方で美容師として働いた上で言わせていただきますと…

全体やってほしいって言うお客様は圧倒的に関西のほうが多いです。

これはもう仕上がりのきれいさとか、判断基準がそういうところではないとしか思えません。

明らかに損得勘定ですよね。

 

根元だけでも全体でも料金変わらへんのやろ?
ほんなら全体やってもろたほうが得やんな?

 

絶対これなんですよ。この…関東にいないタイプの考え方。

神奈川県ではリタッチのほうがいい理由を伝えると、わりと皆さんすんなり理解してくれました。

関西の方けっこう粘るんですよね。時間かけて丁寧に説明しても。

カラーでも縮毛矯正でもこの考えで美容室来る人ちょいちょいいましたから、

そういう方からしたら「兄ちゃんなんでやってくれへんねん」ってなるんだと思うんです。

お客様の年齢に関係なく、損か得かだけが判断基準の人。

こういうとき「あー、関西だなー」って思いますね。

 

 

そりゃね、使ってる薬剤の量からしたら全体施術のほうが多いですよ。

お客様側もたっぷり薬剤使ってくれた方が得した気分になるのはなんとなくわかります。

でも…大事なのは使った薬剤の量じゃないですからね。

先ほども書きましたけど、毎回全体に施術したらカラーは深く色素入って真っ黒になりますし、

カラーにしろ縮毛矯正にしろ毛先のダメージすごく大きくなりますから。

それで色が暗すぎるから明るくするためにブリーチ使ったり、

ダメージ大きいから頻繁にトリートメントしたくなったり…これ得してますか?

むしろ明らかに損してますよ。

毎度全体にやらなかったらやる必要のないメニューなわけですから。

なので全体やってもらった方が得よなと思う関西の皆様。

どうか一度立ち止まって考えていただきたいんです。

長い目で得するのはどっちなのか…髪のためにもいいのはどっちなのか。

我々美容師はお客様の髪をきちんと見て触れて、何が最適なのかをご提案いたします。

 

こう言ってもなかなか信じてもらえないことってあるんですよ。

これは…世間一般的に美容師に対する信頼がないことの裏返しですね。

いらんメニューやらされたとか、いらんもん買わされたとか、なんかそういうことかなと。

それは美容業界側の問題だと思うので…

きちんとお客様のために親身にお話を伺って、長い目で見てベストな提案ができるように。

Ricosは常にそういう仕事を心がけてお客様と接するお店でありたいと思っています。

自分でお店を開いたのは、そういう思いがとても大きいのです。

 

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