こんにちは。

西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの

小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

今回のタイトルはおよそ美容師には関係のなさそうなもののように思われましたよね。

でもね、あるんですよ。

男子が肉食と草食に分けられたように、美容師も狩猟型と農耕型があると思うんです。

本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。

それではどうぞ。

狩猟型の美容師とは

 

皆さんが美容室に行ったときに一度は経験されたことがあると思うのですが、

 

  • 「予約してたメニューより高いメニューを勧められた」
  • 「店販商品を買うように勧められた」
  • 「次回の予約を取るよう強く勧められた」

 

わりとあるあるですよね。

美容師はボランティアではなくビジネスです。

また、我々はお客様の髪にとって最善の提案ができるよう努めるのが仕事です。

ですので上記のようなことをお客様に勧めるのは当然あり得るものです。

もちろん自分も美容師ですので(次回予約以外は)そのような提案をすることもありますし、

上記のようなことをお客様にする美容師を一概には否定しません。

むしろお客様のことを思えばそれが適切で正しい対応になる場合も当然あるわけです。

そういうお勧めに積極的な美容師を自分は『狩猟型』と定義しています。

言い方が非常に良くないのですが…上記のことはお客様のためを思っての提案である半面、

その提案を受け入れてくれるとサロン側に金銭的な利益が生じます。

平たく言うと儲かるんですよ。獲物を獲りに行ってる感。

 

このパターンで難しいところなのは…お客様のためのお勧めってだけじゃなくてですね、

皆様の疑念の通り『お客様のためになってないお勧め』のパターンもあるってことです。

それはどういうことか…具体的に言いましょうか。

 

  • ノルマが課されている(アシスタントや若手スタイリストに多い)
  • 客単価を上げてバリバリ稼ぎたい(業務委託サロンで働く美容師に多い)

 

おわかりいただけますでしょうか。店側・美容師側の都合ですね。

実際に売上のノルマが決まってるからお客様にトリートメントとか店販勧めてこいとか、

若手の頃は自分も言われましたしやってましたし…これ普通のことですからね。

経験してきた美容師たくさんいるし、今でもやらされてるアシスタントたちいますよね…きっと。

 

最近多い業務委託サロンはリーズナブルな料金設定のところが多いですね。

ですので普通の店より回転率か客単価のどっちか(あるいは両方)を上げたくなるわけです。

それ自体はどんな商売でも基本ですが、委託サロンはそもそもメニューの料金がわりと激安なので。

そのまま働いてたら数だけこなしてあんまり稼げないパターンですね。

業務委託は歩合制なことがほとんどなので、やればやった分だけ自分の報酬に繋がります。

カウンセリングの段階でこっちの薬剤がいいとか何とか理由つけて高額メニューに誘導とか、

そんなようなこともままあるわけですよ。

もちろんそれだって高額な薬剤のほうが髪にやさしかったり発色が良かったりするので、

お客様の求めている仕上がりや髪の状態によっては高いほうをすべき場合も実際よくあります。

ただ、お安い委託サロンに行こうとするお客様…ご新規の場合は特にそうだと思うんですけど、

そこを選んだ理由の最たるものって「安いから」だと思うんですよ。

それであれやこれや勧められて当初の想定より倍近い料金のメニュー提案されました、ってなると

「いや、それはちょっと…」ってなりますよね。

ちなみにそういうお手軽単価アップにすごく便利なフレーズが『髪質改善』だったりするので、

なんだかちょっとなぁ…という気持ちではあります。

Ricosのメニューに【髪質改善】がない理由

  今回の記事の結論から先に申し上げます。 詳しくは以下にたっぷりと書かせていただきました。 前もってお礼申し上げます。この度は拙文をご高覧賜りましてありがとうご…

農耕型の美容師とは

 

お客様に対して料金が高くなるメニューの提案をしない、もしくは控えめなスタッフ。

こういう人たちもまた当然います。

中には自分に自信がなくて高いメニューを提案できない人もいるかもしれませんが、

自身に不安がなくてもメニューアップを強く推して来ないという場合もあります。

そういう考え方の人にもきちんと理由があります。

初回や2回目はまだお客様がお店にもスタッフにも慣れていない状態。

こういった方を相手にいきなり『成果』を得ようとするのではなく、

まずはできる限りお客様のご予約の通りのメニューで納得してもらえる仕上がりを作って、

来店回数を重ねて慣れてもらってから少し上の提案をしていく。

こういう考えの美容師を『農耕型』と定義しました。自分はこっちのタイプです。

最初は種蒔きなんですよ。

種を蒔いて、手間かけて育てて、実ってから収穫。

やってることは遠回りかもしれません。

ですが収穫までの手間をかけて育てていくというプロセスは段階として大切です。

種を蒔くのも育てるのも、これはお客様との間に信用を作っていくということです。

一撃で仕留めれば獲物はでかいかもしれませんけど、獲ったら獲物は終わりですからね。

農業はきちんと手入れすれば手間はかかっても何度でも収穫できますから。

 

大事なのは信用なんですよ

見出しの通り、大事なのは信用なんですよ。

信用の積み重ねが安心感をもたらし、それが投資や購買意欲を生むという。

そんなようなことキンコン西野が本で言ってましたよね。

 

 

この本ですね。

この本に書かれていたことはだいたい納得のできるものです。

まぁ…そうは言ってもですよ、あの人もいろいろありますからね。

「プペルの美術館作りたい言うてクラファンで6000万集めて川西に買うた土地、

あれ今も更地になってんのFLASHにツッコまれてどないすんねん」って感じですけども。

でもこの個人で6000万集めるとかも西野さん本人に信用がなければみんな金出さないんですよ。

「この人にだったらお金使ってもいいかな」っていう気持ち。

それはその人への信用があってこそ生まれる気持ちですから。

信用の積み重ねがやがて信頼を生むんですよね。 

 

 

この人は信用もないうちに信頼してって言うからダメだった人の最たる例ですね。

信用してもらえたから勧めてくれたメニューも試してみようかなって思えますし、

それでいい仕上がりになればお客様はスタイリストをまた信用しますよね。

それで「この人は信頼できる」ってなればお任せとかになるんだと思うんですよ。

この信用を地道に作っていくための手段として自分は農耕型を選んでいるんです。

もちろん、この信用というものが既にある美容師だっているわけですよ。

 

  • 雑誌やテレビにも出れる名前の知られた有名美容師
  • みんなが知ってる有名サロンに勤めている美容師
  • インスタとかtiktokのフォロワーめっちゃ多い美容師
  • いつも予約でいっぱいの美容師

 

こういう人たちはある程度信用を積み重ねている人たちだと思いますので、

新規のお客様を相手に強気の提案をしてもなんとなく許してもらえたりしますね。

なので狩猟型になりやすい人たちだと思います。それでいいと思います。

 

繰り返しになりますけど大事なのは信用なんですよ。

何の信用もない初対面の美容師が狩猟型タイプでメニューアップめっちゃ勧めてきたら…ねぇ。

やっぱり嫌じゃないですか。

何らかの形でお客様に信用される要素がないとビジネスはうまくいかないんですよ。

昔勤めていたサロン、新店のオープニングスタッフとして異動になったこともありました。

自分で開業する前の美容室は店長やってほしいというお誘いで行きました。

どちらも最初は本当にお客様が少なくてひまでしたし、ものすごく売上も少なかったです。

しばらくの間は来てくださったお客様にご満足していただけることに全力で、

一生懸命に向き合った結果としてお客様も増えましたし売上も伸びました。

がんばって信用を積み重ねたぶんだけきちんと結果に反映されるんですよね。

自分は地道にコツコツやる農耕型が合ってるんだと思うんです。

ずっとこのスタンスだったので。

 

特にこの夙川という街。

自分にはこれまで縁もゆかりもない街でした。

住んでたことも働いてたこともなく、友達がいるわけでも買い物に来るでもない。

全然知らなかったんですよ。全くのよそ者。

そんな街にこの度ご縁があって美容室を開く機会を得られたわけです。

本当にありがたいことです。

新しい場所で一から始めることにそれほど抵抗はありませんでした。

住み慣れた地元の神奈川県を離れて関西に来て働くことが大きかったですけど、

その後も梅田、天王寺、塚口と働く場所を変えるたびにお客様はリセットに近かったですから。

その都度新しい大地に種蒔きからスタートして果実を育ててきました。

なので今、またそんな新しい大地にコツコツと種を蒔いています。

蒔いた種が大きく育って花を咲かせて、立派な実がなるように。

まだまだこれからもがんばります。

 

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