こんにちは。

【扱いやすくて長持ちするスタイル】【通うほど髪がきれいになる美容室】

をテーマに、マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする

西宮・夙川にあるプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

 

美容師として働き始めてから16年。

独立して自分の店を持つことができました。ありがとうございます。

オープンしたてで当店まだまだおひまでございます。

なのでいろいろ考えます。いろんなこと考えてます。

今日は美容師の『これから』について。

なんか大それたネーミングセンスすぎましたかね。

本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。

それではどうぞ。

日本の美容室多すぎ問題

 

皆さんはこの日本国内に美容室が何店舗あるかご存知でしょうか。

空きテナントができたと思ったら美容室か整体か、と言われるほどに多い美容室。

当店もそう思われてるんですよきっと。

「あそこやっぱり美容室になったわ」って。

その数全部でいくつあるのか。こちらの記事に答えがあります。

美容室の店舗数、令和元年は25万4422軒 過去最高を更新 | ビュートピア(Beautopia)

厚生労働省は2021年2月18日、令和元年度衛生行政報告例を発表した。美容所(以下、美容室)は25万4422軒で過去最高を更新。理容所(以下、理容室)は、11万7266軒に減少し…

このとおりです。

令和元年度において254,422軒。約25万店ですよ。

コンビニよりも多いことを知っていらっしゃる方はおられるかと思います。

そのコンビニが日本全国で約58,000店。最大手のセブンイレブンが21,000店ですよ。

おおよそ全コンビニの5倍、セブイレの12倍あるんですよ。美容室って。

カンテレの『所JAPAN』の第1回オンエアが「なぜ日本にはこんなに美容室が多いのか」でしたね。

 

今を遡ること17年前。

自分がまだ専門学生…神奈川県の美容組合が作った専門学校にいた頃。

組合立の学校なので、当然のように組合発行の月刊誌が生徒全員にほぼ毎月配布されていたんです。

その巻末…ジャンプで言えば目次と作者あとがきのページにあたる部分。

そのページに全国の美容所数と平均単価が都道府県別に載っていました。

その頃、日本の美容所の総数は約20万店でした。

ってことは16年で5万店も増えてるんですよ。

それこそそこらじゅうで美容室って潰れてるじゃないですか。

それだけたくさん潰れる美容室よりもハイペースで出店される美容室。

自分も数を増やしてしまった側なのであんまり言えたもんじゃないですが…多すぎませんかね。

あまりに多すぎるので最近は比較対象が店舗じゃなくて信号機になったようです。

日本中の信号機の数よりも美容室のほうが多いとのこと。

ヤバすぎるでしょ。どんだけ美容室多いんだよ日本。

そりゃ潰し合いにもなるわ。なので我々は毎日がバトルロワイアルであり仁義なき戦いなのです。

幸いにしてウクライナのように砲弾やら対艦ミサイルが市街地に降ってくることはありませんが…

日々皆さんの街中の美容室はホットペッパーのクーポンやらインスタをプロパガンダ部隊に、

そして自分の技術を武器にして熾烈な戦いを繰り広げているのです。

そして当店はまだまだひまなのでこの戦いに勝ててはいないのです…。

ゼレンスキー政権と、勇敢なるウクライナ人たちも開戦当初キーウを守り抜けました。

オープンから1ヶ月。当店は未だ首都防衛決戦の最中にあります。まだまだこれから。

 

美容師やりたい人出ておいでー

美容室が多いことはここまでしつこいぐらいに書きました。

では、美容師はどうなのか。多いのか。

それも実は先ほどリンクを貼った記事に答えがあります。再掲しますね。

美容室の店舗数、令和元年は25万4422軒 過去最高を更新 | ビュートピア(Beautopia)

厚生労働省は2021年2月18日、令和元年度衛生行政報告例を発表した。美容所(以下、美容室)は25万4422軒で過去最高を更新。理容所(以下、理容室)は、11万7266軒に減少し…

542,089人。

人数にしたら多いですよね。

でもちょっと考えてほしいんです。

日本の美容室の数は約25万店。

54万人も美容師がいたって、店がこれだけあると1店舗あたりの美容師の数は平均2人ですよ。

もちろんそれだけ零細規模の美容室が多いということでもあります。

当店のように1人で営業する美容室も決して珍しくありません。

だとしても。

1店舗に10人とか15人とか美容師がいる店もあるわけです。

かつてそういう職場で実際働いてましたし。

当然、そういう大規模な美容室もまた決して珍しくないわけです。

ってことはどう考えても店の数からしたら美容師足りてないんですよね。

その証拠に、ほとんどの美容室では常にスタッフを募集しています。

美容室で働けるのは美容師だけという当たり前すぎる障壁があるので外部からの参入はありません。

美容師側からしても文句言わなければ必ず就職できます。必ず働き口見つかります。

まぁ…実際にはこの「文句を言わなければ」が非常に高いハードルでございまして…

大抵の方のお察しの通り、この業界そのものがブラックという現実問題。

賃金安すぎる、勤務体系キツすぎる、根性論ふりかざす先輩がクソすぎる、などなど…

真面目かつスタッフ想いの経営者や先輩スタッフたちもいっぱいいます。

ですが業界として上記のような面が今でも言われてしまう環境。

選り好んでるとなかなかいいお店見つからないってのもまた事実なんですよね。

 

 

1日働いた後はだいたいこんなふうになってます。身体も心もすり減ってます。

そういう美容師さん少なくないですよね。

問題なのは、果たしてこんな仕事を誰がやりたいと思うのか…ということです。

薬剤で手が荒れる、アレルギーが出てしまって泣く泣く辞めざるを得ない人たちもいます。

かっこいいから、モテそうだからと安易な気持ちで入って現実を知ってすぐ退場する人もいます。

ですが、ちゃんと美容師をやろうと志してがんばってきた人たちまでも心が折れて辞めていく。

どこの業界でも一定数いるでしょうけど…これ本当に業界的に大きな損失だと思うんですよ。

この人たちが周りの友達や知り合いに何て言いますかね。

 

美容師? やめときなよ~あんな仕事、きついし割に合わないし

 

こうなりますよね。これが世間的にたぶんだいぶ広まっている。

美容師はたくさんいますけど、元美容師もたくさんいるんですよね。

元美容師の何割かは…美容師にうんざりして愛想つかして辞めていった人たち。

彼らが美容師を良く言うわけないんですよ。彼らは何も悪くないですけどね。

そりゃひろゆきも美容師目指すのやめたほうがいいって言うわ。言いたくなるのは同意。

日本全体における少子化の流れももちろんあります。

ただ、それだけじゃなくてそもそも美容師になりたい人自体も減っている。

業界の真相がそれだけ世間に知れ渡ったということです。

安定とローリスクを求めるこのご時世にこれはだいぶきっつい話。

この流れで苦しんでる美容室経営者もいます。

よく言えば昔ながらの、悪く言えばブラックな美容室ですね。

まぁ…ざまあみろって感じでしかないのですが。

でもそのせいで美容師のなり手が減っているのは由々しき問題です。

昔ながらの美容室経営者はこの流れにおけるA級戦犯なわけですね…。

 

実は美容師は有望。でも…

あれだけ美容師ボロクソに言っておいてこの見出し。

何言ってんだよとお思いかもしれませんが、それなりに理由はあります。

 

全世界的にいろいろな職業を脅かす存在。

AIですね。人工知能。

 

 

おそらく美容師の仕事がAIに取って代わられることは当分ないはず。

我々の仕事は今後もまだまだ生き残れます。それはなぜか。

簡単なことです。

人の手に代わるものがまだ存在しないからです。

例えばオートシャンプー台。規模の大きなサロン行くとたまにありますよね。

美容師に代わってシャンプーしてくれる機械ですけど、原理的には食洗器と同じですよね。

機械からアームが出てきて頭洗ってくれるんじゃなくて、強い水流で汚れを落とすんですから。

個人的にはあれを美容室に置くから物足りないって不満が出るんだと思うんですよね。

どうして病院や介護施設に置かないんでしょう。

タカラベルモントあたりはそういう販路開拓しないんですかね。

超高齢社会ですから需要あると思うんですけどね。

高いし場所とるからダメなのかな。

で、シャンプーですよ。シャンプーマシンでさえまだ人の手で洗うようには作れない。

カットやカラー、パーマなんて機械がやるようになるのはきっとすごく先のこと。

それまではまだまだ我々の需要はあります。

ましてやこれから美容師のなり手は減っていきます。

人にしかできない仕事をしている美容師の希少性というか、価値は上がると思うんですよね。

古い経営者たちが退場していくと、この流れはきっと進むと思います。

美容学生たち、若手のアシスタントたち。

ひろゆきが何を言ってもそこまでは踏ん張ろう。

きっと我々の仕事の価値が今よりも上がる日は必ず来る。

「カットなんてこれくらいの値段で十分でしょ」なんて言えない時代来るから。

 

ただ、ひとつ引っ掛かることがあります。

実際の施術はもちろん美容師が行います。代わるものは存在しません。

しかしカウンセリングはどうでしょうか。

この部分はおそらくかなりAIが強いはず。

 

 

弁護士が消えるとか言われているのはまさにこの部分です。

過去の判例とか、膨大なビッグデータから適切な答えを導き出すのはAIのほうが優れている。

それと同様のことが美容室で行われるとしたら…

お客様の髪質や顔の形などから最も適切なスタイルをAIがカウンセリングして提案し始めたら。

我々はその通りに施術するだけの、カウンセリング担当AIの下働きになる日が来るかもしれない。

 

ここも取って代わられることなく、人間にしかできない部分が発揮できるかどうか。

傾聴と感情の機微を受け止められるカウンセリングができるかどうか。

AIや機械が力を持つ時代だからこそ、より人間的な心の通う接し方が求められるのかもしれませんね。

ボーダーレスな時代になった現代こそ、より国境や文化圏を意識する面が強まったように。

さて。

我々の先に待っている未来はどんな社会なんでしょう。

 

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