こんにちは。
西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの
小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

前回のお話までで毛髪の構造のお話をしました。
今回は3回目。髪がどのようにして染まるのかをお話します。
本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。
それではどうぞ。
あっ、このお姉さんフリー素材の方ですからね。SAKIさんというモデルさんだそうです。
きれいなお姉さんですけど当店とは何の関係もございません。
フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)さんから使わせていただいております。
大変助かっております。ありがとうございます。
カラー剤は3種類ある

一口にカラー剤と言っても実は大きく分けて3種類あります。
- 一時染毛料(カラースプレー、マスカラなど)
- 半永久染毛料(ヘアマニキュア)
- 永久染毛剤(皆さんが一般的にイメージするヘアカラー)
いろいろと違いはあるのですが、いちばんわかりやすい違いは色の持ち具合です。
一時染毛料
カラースプレーやマスカラなど、表面に貼り付くだけのものですね。
ブリーチしたけど急に黒くしなきゃいけないとかのときに黒彩使ったりした人いますよね。
あれです。
髪表面に染料を直接噴きつける、もしくは直接塗って色を付けます。
表面に貼り付いてるだけなので、シャンプーしたら落ちます。
なので髪が傷むことはありません。皮膚がかぶれることもありません。
半永久染毛料
いわゆるヘアマニキュアのことです。
表面に貼り付くだけというのは一時染毛料と同じなのですが、染料の付着の仕方が違います。
ヘアマニキュアは酸性染料とも呼ばれます。
後述する一般的なヘアカラーは酸化染料と呼ばれています。
ここ…美容師的にもめっちゃややこしいんですよね。名前似てるし。
酸性染料(=ヘアマニキュア)は名前の通り『薬剤そのものが酸性』です。
小学校の理科でpHとか学びましたよね。
リトマス試験紙の色が変わったらどうとかっていうやつです。

酸性薬剤を髪に塗ると、当然髪の表面は酸性になります。
酸性に傾くと電気的には+(プラス)になるんですね。
そこに-(マイナス)の電荷を持った染料がぴたっとくっつくんです。磁石のように。
こちらの記事でお話したように、イオン結合を利用しているんですね。
ただ貼り付いているんじゃなくて、電気的な結合でくっついているので一時染毛料より強力です。
色持ちとしてはだいたい1ヶ月ぐらいでしょうか。感覚的に。

またしてもアナログ手描きです。
前に毛髪の構造をご説明した際に、髪は3層構造というお話をしました。
それを縦にスライスしたものと思って上図をご覧いただけたらと思います。
中心の黒斜線部が髪の芯であるメデュラ、
黒いドットが並んでいる部分が髪の中身の大半を占めるコルテックス、
両サイドに並ぶ黒い実線が髪のカバーであるキューティクルです。
その外側にピンク色で線を引きました。
これが一時染毛料と半永久染毛料で髪を染色したイメージです。
表面にくっついてるだけなんですよ。
キューティクルの内側にピンクの点を描きましたが、染料が入ったとしてもここまで。
芯まで染まるようなことはないんですね。
だから…ここが最も大事なんですけど、一時染毛料も半永久染毛料も髪を明るくできません。
カラースプレーにもヘアマニキュアにも髪を明るくする作用は全くないんですよ。
下地が黒かったら色がわかんないんです。黒いままなんで。
画用紙とカラーセロハンをイメージしてみてください。
黒い画用紙の上に赤いセロハンを置いても黒にしか見えないですよね。
白い画用紙の上に赤いセロハンを置くことではっきり赤と認識できますね。
ブリーチした毛(黄色)や白髪(白)に色をつけることはできます。
黒髪を明るくすることはできないんです。
ここがヘアマニキュアとヘアカラーの大きな違いです。
そのかわり、ベースさえ明るければヘアカラーよりも鮮やかな発色を楽しめます。

相席食堂で自分がロケ行くところを体調不良で勝手に降りる宣言して千原せいじに代打で行かせた男。
この人何使ってるかわかんないけど、たぶんマニキュアですよね。
ヘアマニキュア使うとこういう発色します。
永久染毛剤
ヘナなども実はここに分類されるのですが、一般的なヘアカラー=永久染毛剤です。
一般的なヘアカラーっていう言い方をさっきからずっとしているのですが、
何のことかと言うと酸化染料を使用した酸化染毛剤(特にアルカリカラー)のことを指します。
…ちょっと難しくなってきましたよね。
さきほどヘアマニキュアは『酸性染料』と書きました。
酸性の薬剤を髪に塗って+極を作り、そこに-極の染料をぴたっとくっつける…っていう仕組み。
ヘアカラーの『酸化染料』は、名前は似てますけどそれとは仕組みが違います。
薬剤を混ぜて生まれる酸化反応で髪色を脱色し、さらに染料を結合させて発色させる。
文章だと何のことだかわかんないと思うので図にしてあります。

まず、一般的なヘアカラーはアルカリカラーなので、薬剤そのものはアルカリ性です。
マニキュアは酸性なので、この点からしてまず違うんですね。
市販のカラーで染めたことがある方ならわかると思うのですが、箱開けると薬2つ入ってますよね。
練り物のチューブと、白いどろっとした液体。
あれ…練り物がアルカリの染料で、白濁液が過酸化水素水です。
それらを混ぜることで化学反応が起きて強い酸化力が生まれます。
それが上図①の状態です。図中の黒いドットがメラニン色素を表しています。
お肌が日焼けしたら黒くなるときに増えるやつですね。あれが髪にはたっぷりと入っています。
だから我々の髪の毛は黒いんですね。
この黒色の元であるメラニンを、アルカリ剤と過酸化水素を混ぜて始まった酸化パワーで壊します。
ちなみに図中では×印をつけてメラニンを壊している様子を表現しました。
このことを脱色と言います。ざっくり言えばブリーチのことです。
だから実は普通のカラーにもブリーチって入ってるんですよ。じゃないと髪を明るくできないので。
暗めのカラーであればメラニン壊す量は少なくて済むので、ブリーチの配合量も少ない。
逆に明るめカラーであればたくさんメラニンを壊さないといけないので、ブリーチの配合量も増える。
で、色素のない…ただ明るくするだけの薬剤。これが皆さんのイメージする通りのブリーチです。
なんとなくわかりましたでしょうか。
こうしてメラニンが減った状態が上図②ですね。
上図②はメラニンが壊れて空いたスペースに染料が入っている様子です。
アルカリカラーの染料そのものは粒が小さいので髪の奥まで入っていくことができます。
もちろん染料が入っていく間もまだ薬剤の酸化反応は止まらず続いています。
髪に入った染料がこの酸化反応に触れることで、近くにある染料どうしくっついて大きくなります。
このことを酸化重合と言います。
美容学生たちはここけっこう重要だからちゃんと覚えたほうがいいよ。
こうして髪の中で染料が膨らんで定着した状態が上図③になります。
染料を表すピンクのドットは気持ち大きめに描いてあります。細かすぎて伝わらなかったかな。
こうやって髪は染まっていくんですね。
なので元の髪色より明るくできるのはアルカリカラーだけなんですよ。
どうして髪が明るくなるのかがなんとなくわかっていただけましたでしょうか?

SAKIさんちょっと使い過ぎたから次は違うモデルさんにしようかな。
ちなみにフォントはふい字です。
あのフォント絵文字とかあったんだ。知らんかった。使いこなしきれてないわ。