こんにちは。
西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの
小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

日々お客様とお話しておりますと、皆さんけっこういろんなこと知っているんですよね。
今はネットで検索すればたいていのことは出てきます。
YouTubeでもインスタでもTikTokでも、美容師やアレンジうまい人が動画で詳しく説明してくれます。
いい時代になりましたよね。
だから我々美容師よりもお客様のほうが詳しく知っている場合もたまに出てきたりしています。
もはやお客様が素人ではないパターン。我々も勉強不足にならないよう学びを止めてはいけませんね。
ですが…そういうお客様はごく一部。
美容師にとっては今さら説明するまでもないようなことでも、お客様にとっては知らない有益な情報。
日々のサロンワークでの会話でそんなことがたくさん出てきますよね。
なのでそういったことをわかりやすく解説する場も必要かなと思っておりました。
シリーズ化して書いていこうと思います。
残念ながらタイトル画像のようなきれいなお姉さんが髪のことをやさしく解説してくれるのではなく、
実際にこの記事を書いているのはアラフォーひげ面のおっさんです。
きれいなお姉さんのフリー画像に、女の子っぽいかわいい字のフォントを打ち込んでいます。
自分としては画像の女の子が書きそうな字体を選べたのではないかと思っているのですが、
それをおっさんが誰もいない部屋でひとりパソコンに向き合って打ち込む姿はシュールです。
本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。
それではどうぞ。
髪の毛は巻き寿司

巻き寿司ですね。
巻き寿司は納豆巻きがいちばん好きです。
さて。
美容師は毛髪の構造について講習を受けるとき、ほぼ必ずこの例えの説明を受けます。
髪の毛は巻き寿司に似ている、と。

デジタル全盛のこの時代にガチのアナログ手描きです。
アラフォーの男がひとり黙々と極細マッキーで描きました。
もう見てもらっての通りなのですが、毛髪は巻き寿司と同じ構造をしています。
巻き寿司は3層構造です。
- 海苔
- ごはん
- 寿司ネタ
毛髪も同じく3層構造になっています。
- キューティクル(毛小皮)
- コルテックス(毛皮質)
- メデュラ(毛髄質)
それぞれ巻き寿司のパーツと対応しています。
海苔=キューティクル、ごはん=コルテックス、寿司ネタ=メデュラ、というように。
このうち、キューティクルは聞いたことある人も多いと思います。
髪のいちばん外側に薄く巻き付いているものがキューティクルです。
魚のうろこのように、根元から毛先に向かって何枚も重なっています。髪のカバーですね。
キューティクルがきちんとあって、しっかり閉じていることで髪の中身を守ってくれます。
「しっかり閉じていること」が大事なポイントです。
次にコルテックス。
ごはんの部分ですね。髪の大半はコルテックス。
髪に水分を貯め込む、カラーの染料が定着する、パーマ液が作用する。
それらは全てこのコルテックス(厳密にいえばコルテックス内の間充物質)の役割です。
めちゃくちゃ大事ですよね。
中心にあるのがメデュラ。髪の芯ですね。
これ…実はまだよくわかっていないそうです。人によってはメデュラがない場合もあるとか。
髪の1本1本がこういった3層構造で成り立っているんです。
肉眼では確認できないですけど人間の身体って細部までよくできてるなぁ…って思いますね。
で、だから何なのよもっと説明して

さっきまでの説明で終わってしまっては中身がなさすぎますよね。
もうちょい詳しくお話しします。
キューティクルは根元から毛先に向かって重なっていると書きました。
これ、普段閉じているのですが…ときどき開きます。
髪を濡らした時ですね。髪が膨潤するので広がって開くんですね。
これが開いたままだと内部のタンパク質やカラーの染料が抜けて出てしまいます。
この状態で髪が擦れるとキューティクルは剥がれます。
乾かさずに寝るのは髪(特にキューティクル)にすごく大きなダメージが加わります。
でも乾かすとまた閉じます。簡単な仕組みですね。
だから美容師はお客様に「髪の毛はきちんと乾かしてくださいね」って毎度言うんですよ。
このとき、重なりと同じ方向に乾かすとキューティクルはきれいに閉じます。
つまり根元から毛先。
美容師のよく言う言い方だと「上から下に向かって」というやつですね。
キューティクルが開いたり、乱雑な閉じ方をすると光は乱反射します。光が散らばるんです。
きちんときれいに同じ方向に閉じたキューティクルは光を一つの向きに反射します。
こうすることでとてもツヤが出やすくなるんですよ。
乾かし方ってすごく大事なんです。ほんとに。
また、キューティクルは魚のうろこみたいに重なっているとも書きました。
重なっている枚数が人によって違います。平均4~6枚。
この重なりの枚数が『髪の硬さ』と『薬液の浸透スピード』に関係しています。
つまり、猫っ毛と言われる軟毛の人はキューティクルの重なりが4枚よりも少ないようです。
逆に剛毛、硬毛の人は重なりの枚数が6枚よりもっと多い。
よく「パーマがかかりにくい」って悩むお客様がおられます。
これは2タイプあるんですね。
- 細毛、軟毛でかかりにくい
- 太毛、硬毛でかかりにくい
軟毛の人はキューティクルの重なりが少ないので、あっさりと髪の中に薬液が浸透します。
ですが髪自体が細いので、その下にあるコルテックスも少ないんですね。
コルテックスは薬液が作用する部分。
あっさりと髪に入っていけるけど、薬液が効く部分が少ないからそもそもかからない。
だから「かかりにくいし、落ちやすい」んですね。
逆に硬毛の人はキューティクルがたくさん重なっている…それだけ薬液が浸透しにくい。
中に入ろうとしてもたくさんカバーをこじ開けないといけないんです。
浸透するまでにどうしても時間がかかってしまいます。
ですが、毛の硬い人はほぼ例外なく髪が太いのでコルテックスもたっぷり。
一旦きちんと薬液が浸透すれば、薬剤が作用する部分がたくさんあるんですよ。
だから「かかりにくいけど、一度かかったらしっかり残る」ことが多いんですね。
このようにパーマがかかりにくい原因も髪質によって違いがあるんです。
これを読んで「私はどっちのタイプかな」って皆様も考えてみるのもいいですね。
わかりやすさ優先で書いてみたつもりです。
同業者の方からすると物足りなく思われるかもしれませんけどね。
でも髪のことを知ると普段の何気ないこともちょっと気を付けようと思ったりしませんか?
今日はいちばん基礎の部分のお話でした。

…と、きれいなお姉さんの画像を被ったアラフォーのおっさんが申しております。
それではまた次回。