こんにちは。

西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの

小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

 

 

ほとんどのお客さんとの会話に出てくる今回のタイトル。

みなさん本当にめんどくさいって思ってるのがよーーーくわかります。ほんっとに。

今回はそれを美容師の観点で説明していけたらなと思っております。

本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。

それではどうぞ。

なぜ髪をきちんと乾かしたほうがいいのか

 

「髪の毛ちゃんと乾かしてくださいねー」

 

これ、どこの美容室行っても必ず聞きますよね。絶対言われますよね。

それだけ大事なんですよ。

ではなぜそれだけ大事なんでしょうか。

以前に毛髪には4つの結合があるんだよっていうお話を書きました。

【基本】今さら聞けない髪のお話②毛髪の4つの結合

    前回の記事に続いて毛髪の構造のお話です。 美容師にとっては超基礎ですが、一般の方にとっては超が付くほどでもない… っていうかたぶん聞いたことある人のほうが少…

 

そして同じく以前こちらの記事で毛髪の構造についてご説明いたしました。

【超基本】今さら聞けない髪のお話①毛髪の構造

    日々お客様とお話しておりますと、皆さんけっこういろんなこと知っているんですよね。 今はネットで検索すればたいていのことは出てきます。 YouTubeでもインスタで…

 

まずそちら2つの記事に目を通してくださると理解がより深まるかと思いますが、

結論から言うと乾かすというのは

 

  • 水素結合を繋げ直す
  • キューティクルを閉じる

 

ということになります。これがとても大事なことなんですね。

髪は濡らすと内部の水素結合が切断されます。これは乾かすとまた繋がります。

髪は『濡れた髪が乾くとき』『温めた髪が冷めるとき』のタイミングで形がつきます。

つまりここで髪のクセ付けができるんですよ。

ゆるいクセ毛の人なら手ぐしで引っ張りながら乾かせばクセを延ばせますし、

前髪が割れやすい人は最初に上から下におろして乾かせば分け目を消しやすくなりますし、

てっぺんにボリューム欲しい人は根元を起こすように乾かせばふわっとしますし、

毛先を内側に丸めたければ毛先を掬って持ち上げて乾かせば内巻きにできますし、

きちんと乾かしておけば寝ぐせもそんなひどいつき方はしません。

びしょびしょのうちは形つきませんし、乾ききってしまうとなかなか方向付けが難しい。

それをいちばんコントロールしやすいのはドライしてる最中なんですよね。

そして濡れてると開くキューティクルは乾くことでぴたっと閉じます。

キューティクルは髪の中身を守るカバーの役割。これを閉じてあげることで髪を守ってくれます。

このへん…めちゃくちゃ重要ですよね?

だから我々美容師はお客様に「髪の毛ちゃんと乾かしてくださいねー」って言うんですよ。

ドライは『ただ水気を飛ばすだけ』のめんどい単純作業じゃなくて実は意味があったんですね。

 

乾かさないことのデメリット

 

乾かしたほうがいいですよっていう話はさきほど書きました。

そんじゃ乾かさなかったらどうなるのか。

前項をお読みいただけたらなんとなく想像がつくとは思います。

まず『濡れた髪が乾くとき』『温めた髪が冷めるとき』に形がつくと書きましたね。

なので半乾きで寝てしまった場合…そのタイミングはいつ来るでしょうか。

 

そうです。寝てる最中です。

このときあなたの髪は頭と枕の間にあります。

頭の重みで髪は押さえられ、寝相が良くても悪くても寝返り打つ間に髪は動きます。

そのときの形で固まるんですよ。

だから朝起きたらとんでもない寝ぐせになっている。

乾かすのめんどくさいって言いますけど、時間ない朝に寝ぐせ直すのもっと大変じゃないですか?

それは夜のうちにきれいに乾かしておくことである程度解決することができます。

 

そしてキューティクルです。

さきほど乾くと閉じると書きました。濡れてると開いています。

キューティクルはカバーなので、濡れてたら髪のカバー開いちゃってるんですよ。

なので…平たい言葉で書きますと髪の中身出てっちゃうんですよね。

それだけじゃなくてお肌と同じで髪も濡れるとふやけて柔らかくなるので摩擦に弱くなります。

髪どうしが擦れるとキューティクル剥がれちゃうんです。

ってことはカバー剥がれちゃうってことですから、乾かさないと髪は傷むんですよ。

乾かさないで髪にとっていいことってほとんど何もないんです。

たぶん皆様うっすらとわかってるんですよ。

ここまで言われなくても「乾かさないよりは乾かしたほうがいいよね」なんてことぐらい。

そうは言っても眠いとか疲れたとか、いろんな理由あって最後まで乾かさずにやめちゃう。

人間…そんなもんですよね。

 

こうしたら速く乾きますよ!

それならどうしたらいいのか。

どうしたら速くきちんと乾かせるのか。ご説明いたします。

 

1:よく拭く

バカにしてるのか、と思いましたよね。

「そんなもんわかってるわ」って。そりゃそうですよね。

でもこれめちゃくちゃ大事です。

髪って水すごく吸うんですよ。お風呂上がりに髪絞ってもボタボタと水出てきますよね。

当然バスタオルで拭くと思うんですけど…髪だけじゃなくて身体も拭くじゃないですか。

そのバスタオルはもうある程度水を吸ってるので、髪の水分を吸いきれなくなっています。

できるなら別のタオルか手ぬぐいで髪をまた拭いてあげるといいですね。

ちなみに手袋型のタオルも速く乾かすという観点では有効です。

 

2:ほっとく

おかしいなって思いましたよね。

美容師に「自然乾燥はよくないですよ」って皆さん言われてると思うので。

それをほっとけって間違ってるんじゃない?って思ったはずです。

確かにその通りです。髪を自然乾燥に任せるのはよくありません。

美容師的にもこれを勧めるのは邪道みたいなもんです。

確かドライヤーのオーバードライ(乾かし過ぎ)よりも自然乾燥のほうがより乾燥するようですし、

自然乾燥ですと乾いてもボサボサしてます。

 

ですがちょっと思い返してみてください。

前項の最後にもちょろっと書きましたけど…いろいろ理由あって最後まで乾かさずにやめちゃう。

だいたいそういう皆さんは言うんですよ。

「これだけがんばって乾かしたしもういいでしょ」って。

そうやって半乾きで終わってしまう。半分捨ててるんですね。

本当なら美容師としては最後までちゃんと乾かしてほしいんですけど、それ自体は否定しません。

だって大変ですもん。ロングの人とか多毛の人とか。

お店でそういうお客様のドライしてると半乾きでやめたくなる気持ちもわかります。

どうせお願いした乾かす時間の半分は捨てられるんですよ。だったらどうぞ捨ててください。

そのかわり捨てるのは後ろ半分じゃなくて前半分にしてほしいんです。

繰り返しますが大事なのは『濡れた髪が乾くとき』『温めた髪が冷めるとき』です。

これは半乾き~乾ききるまでの間、つまり乾かす時間の後ろ半分ですね。

そこがとても大事なのでそっちをがんばってほしいんです。

最後きちんと乾ききってればとりあえずはOKなんですよ。最初はどうでもいい。

だからびしょびしょの前半分は捨てる…自然乾燥に任せていいと思ってます。

なので早い時間にお風呂に入っていただいて、ごはん食べたり家事したりくつろいだり…

そうやって2時間ぐらい過ごしてもらったら勝手に半乾きになってるはずです。

そこから始めたら単純に乾かす時間が半分になります。楽ですよね。

ひとつだけ注意してほしいのは…寒い時期は必ず暖かい部屋で過ごしてください。

髪の毛濡れてると冷えますからね。

 

3:ドライヤーを全部自分に向ける

これだけではなかなか意味が伝わりにくいかもしれませんが、皆さん少し考えてみてください。

髪を乾かすときドライヤーの吹き出し口はどこを向いていますか?

だいたい髪の中間あたりを狙って前からぶわーっと風をあててませんか?

だいたい皆さんそうだと思うんです。

でもそれ…風はどこにあたってるんでしょう?

その風って髪にあててるようで半分ぐらい逃げてますよね。全部の風が髪にあたってない。

毛先は全体や根元を乾かしていればだいたい風があたって乾きます。

乾かないのは内側にある根元なんです。狙って乾かさないと風があたらなくて乾かない。

そこでこの記事最初に載せた画像です。

 

 

ドライヤーを全部自分に向けるっていうのはこういうことです。

要するに乾かしたい面に対して垂直に風をあてるということですね。

そうすることで風が全部もれなく自分にあたる。

これで大きくがっさがっさと手を入れて乾かしてみてください。

そんな雑な乾かし方しても髪が濡れてるうちは全然だいじょうぶです。

髪にクセがつくのは半乾きより先のことですから。

これだけでも乾かすスピードは相当に速くなりますよ。

 

最後に大事なことを。

ここまで書いてきたことは『速く乾かすため』の乾かし方です。

最後までこの乾かし方でやるとボサボサになります。

なので乾きかけの…そろそろ終わろうかなというタイミングになりましたら、

乾かし方を変えてほしいんです。

よく美容室で言われる「後ろから前に乾かしてくださいね」というアレです。

皆さん美容師の言いつけを守ってそうやって乾かしてくれてる人もいらっしゃいますけど、

それを最初からやると全く乾きません。延々と乾かし続けるはめになります。

『上から下、後ろから前』という乾かし方は仕上げのやり方なんですよ。

髪はおおよそつむじを中心に放射状に生えていますので、

後ろから前に向かって乾かすだけで根元がおさまって毛先も内に入りやすくなります。

そのときに髪を指で挟んで軽く引っ張りながら乾かすとブローしたのと似たような効果があります。

上から下、後ろから前と一方向に乾かすことでキューティクルがきれいに閉じます。

こうすることでツヤも生まれやすくなるんですね。

【速く乾かすやり方】と【きれいに乾かすやり方】は別だと覚えてくださると幸いです。

 

ここまで読んでくださった皆様ありがとうございます。

ぜひ今夜から試してみてくださいね!

 

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