
こんにちは。
西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの
小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。
日本が高齢者ばかりの国というのは誰もが知っていることですね。
ご老人は大切にとは言われていますけれども、今やどこも老人ばかり。
その対極にいる子供たちの世代のことを思うと…ちょっといろいろと考えてしまいますね。
今回はそんなちょっといろいろを書いていきます。
本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。
それではどうぞ。
日本は高齢化社会ではない
「日本は高齢化社会だから…」
というふうなことを言う人とか、そういう書き出しの文章とかよくありますよね。
これ…間違いです。
日本は高齢化社会ではありません。
このあたりの定義はWHOや国連などの国際機関によってきちんと決まっています。
総人口に占める65歳以上の人口がどれくらいの割合なのか。これが判断基準です。
- 7%~13%台:高齢化社会
- 14%~20%台:高齢社会
- 21%以上:超高齢社会
そして日本の高齢化率を表す内閣府のグラフはこちら。

日本の総人口に占める65歳以上の人口が7%を超えたのは1970年。
1970年の時点で日本は既に高齢化社会だったんですよ。これ昭和45年の話ですからね。
その25年後の1995年(平成7年)には65歳以上人口が14%を超えて高齢社会に。
さらにその15年後の2010年(平成22年)には23%まで上昇。東日本大震災の前年ですね。
このとき日本は国際的な定義で超高齢社会になりました。
いいですか、超高齢社会ですよ?
高齢化社会なんていう「老いつつある」生ぬるい時代は28年も前にとっくに終わってるんです。
現代日本はすっかり「老いきった」時代なんです。12年前にそんな社会になりました。
上掲のグラフでは2020年(令和2年)の高齢化率は28.9%…。
日本の高齢化社会が終わったのは28年前、今度は同じ時間を未来に目を向けると2050年。
2050年の高齢化率は37.7%になっています。赤い折れ線グラフはずっと右肩上がり。
棒グラフを見てください。日本の世代別人口を重ねた総人口ですね。
折れ線グラフに反比例して棒グラフは右に向かって下がっていきます。
ですがこの棒グラフの中で減っているのは赤(生産年齢人口)と緑(子供)です。
生産年齢人口…高校生・大学生を抜けばほぼ現役世代と言い換えて差し支えないこの世代、
令和に入った時点で7500万人いたのに、2050年には5200万…30年で2300万人も減るんですよ。
これ、台湾の人口とほぼイコールです。30年かけて台湾人全部を消し飛ばすようなものです。
日本で言うなら近畿地方と岡山県が無人になるのと同じ。とんでもない数字ですね。
子供たちは同じく令和入ったときに1500万人いたのが2050年には1000万人。500万人減ります。
500万人の人口がある道府県は北海道、兵庫県、福岡県の3つ。
このどれか1つが30年かけて蒸発して無人になってしまうのと同じ減り幅です。
ちなみに四国は4県合わせて384万人。四国丸ごと異次元に消し去ってもまだ足りないんですよ。
これに対して65歳以上の高齢者は令和に入って以降2065年までほぼ横ばい。
特に75歳以上は2030年以降ほとんど減りません。
社会を支える若者や中年、未来ある子供たちが目に見えて激減していく一方で、
老人たちの数は今もこれからもずっと同じ。日本は枯れています。
後期高齢者は神聖にして不可侵なんですか?
どんどん減っていく若年層に対して、一定の数をキープし続ける高齢者。
長生きに希少な価値があった昔と違うんですよね。今や社会に大きな影響を与える一大勢力。
確かに今の日本を形作って支えてきたのは彼らなんでしょうね。
だからご老人たちには敬意を払うべきであると。基本的にはそう思います。
ですが…これを見てほしいんです。

人間は歳を取ると身体の機能が衰えます。病気にもなります。
ですから医療費がかさむのはわかるんです。でもこの数字ですよ。
赤ちゃんから老人まで全員の国民医療費が2020年の時点で47兆2000億円。
そのうち75歳以上の後期高齢者にあてられる分だけで19兆7000億円。
自分は世の中の老人たちに対して早く死ねとか、そんな心ないことを言いたいわけじゃないんですよ。
でもこのグラフ見たらどう考えてもバランス悪いなって思いませんか?
0~74歳までの世代全員の医療費が総額27兆5000億円なのに、75歳以上だけで19兆7000億円ですよ?
いかに老人が多いとはいえ、74歳以下全員と75歳以上だったら人数全然違うじゃないですか。
75歳以上って100歳台に向けてどんどん人数先細りしていくのに、国民医療費の総額の半分弱を使う。
体調崩したりして病院行くとき、ジジババたち明らかに病院行き過ぎだろって思うことありますよね。
特に整形外科の待ち合い見てたら思いませんか?
老人たちは病院にかかりやすいんですよ。気軽に行ける。
それは窓口負担割合が他の世代に比べて低いからです。特に75歳以上の後期高齢者は原則1割負担。
後期高齢者が病院の窓口で1000円のお会計をしたとき、実際には10000円の費用が発生しています。
このとき、窓口で支払った金額と費用全部との差額は公費から支出されます。
荒っぽい言い方ですが…残り9000円は税金で補填していると考えていただいていいかと思います。
それが一事が万事そうなるわけですね。高齢者が病院に行ったら90%は『誰か』に出してもらえます。
この『誰か』が現役世代です。いま主に働いて社会を支えている20~50代の皆さん。
社会保険料やら国民健康保険料やら…あと介護保険か。
働いたお給料から引かれている、あるいは納めているあのお金。
あの金額のざっくり半分は後期高齢者を支えるために使われています。
「そんなもん社会は助け合いだろ当たり前だろ」っていう意見ももちろんあると思いますよ。
もちろんその意識は大切だと思います。
でも…ですよ。
昔は総人口に対して高齢者の数が少なく、負担率も低かったじゃないですか。
今は高齢者の数も負担率も爆増しました。負担の重さがかつてとは全く違うんですよね。
苦しいからここを変えようとすると高齢者世代と医療・福祉関係の団体から大変な反発を受けます。
こういうことを言う人たちが出てくるわけです。
75歳医療費2倍化の凍結を、って言いますけど…1割負担が2割負担になるということですよ。
現役世代の3割負担がもし仮に2倍化して6割負担になるんだったらこれは一大事ですよね。重すぎる。
でも1割が2割になっただけで「死ねってことか」「黙ってたら殺される」とは大袈裟が過ぎませんか?
病院に行くなよなんて言ってるわけじゃなくて、適切な範囲で医療サービスを受けてねって話。
いろんな病院渡り歩いて湿布もらう人とか、通院してるのに待ち合いで元気に話す人とか…。
いちばんの問題はもはや通院どころじゃない…いわゆる本当に寝たきりの高齢者。
身体にチューブたくさん繋がれて、動けないようにベッドに拘束される最晩年。
家族が来るでもないし、挿管やら痰の吸引は苦しそうだし、本当にただ生かされてるだけの人。
普通に考えて拷問だと思うんですよ。
いかに意思疎通が難しくなっていても、痛い苦しいの本能的な部分の意思表示できたりしますよね。
本人が露骨に嫌がっても一度家族が生かしてやってくださいって言ったらやるしかない現行制度。
これもほとんどが公費です。一般人なら90%、生活保護受給者なら全額が公費。
誰かの金で近しい親族を拷問にかけるぐらいなら安らかに楽になってほしいって思いませんかね…。
少なくとも自分は親がチューブまみれで生かされるところは見たくないです。
最近、この気軽に医療サービスが受けられる高齢者医療制度を『サブスク医療』と呼ぶそうです。
言い得て妙ですよね。うまい言い方だなと。
こういう感じで記事にもなっていましたね。
実は「誰も幸せになれない」…!
いますぐ「サブスク医療」を止めて、全年齢で医療費を3割負担にすべき理由
でもやっぱりこういうことってまだまだ受け入れてもらいにくいんですよ。
高齢者の負担を少しでも増やそうとすることは、超高齢社会の日本では悪のようです。
助け合いだの思いやりだの言うなら全世代均等に医療費は3割負担であるべきなんですけどね。
我々が老人福祉を支えるだけじゃなくて、老人も現役世代や若者・子供たちの為に身銭を切る。
それでこそ助け合いというものだと思いますよ。
しわ寄せは弱者に向くもの

世の中は弱肉強食です。
強い者たちがいい思いをすると、そのしわ寄せは必ず弱者に向きます。誰かが割を食うんですね。
この弱者というのは世界的に見て貧困層だったり少数民族だったり移民だったり異教徒だったり…
だいたいそんなところだと相場が決まってます。そういうもんです。
日本は世界的に見てまだ先進国側の国。
国民皆保険制度もあって、身分の差別もなく、おおよそ平等な社会。
世界で最も成功した社会主義国家とはよく言ったものです。
こんな国で高齢者に金銭的な負担を増やそうとすると「弱い者いじめだ」と声が上がります。
年金で細々と生きる高齢者に負担を強いるとは何事か、社会の先達に敬意を持てよと。
でもちょっと考えてほしいんです。
身体はヨボヨボかもしれませんけど…果たして高齢者は社会的に見て弱者でしょうか?
今の後期高齢者もかつては男性の大半がサラリーマン。女性の大半は専業主婦。
彼らが働き盛りの頃や若かったとき、日本は今じゃ考えられない好景気を経験したはずです。
冷戦が終わる間際にアメリカさえも買い占めるぐらいの財力が日本には溢れてましたよね。
自分が生まれるよりもっと前には植木等が「サラリーマンは気楽な稼業」なんて歌ってます。
会社の金で飲みにも遊びにも行ったでしょう。社員旅行だってきっとハワイだったでしょう。
奥さんは働かなくても旦那さんの給料だけで十分に家族を養えてたから専業主婦が一般的なはず。
今より税金も安かったはずです。社会保険料や医療費負担も少なかったですよね。
消費税だって導入なんかかなり後のほうのことですよね。しかも3%だし。
それでたっぷりと退職金もらってお勤めご苦労様ですってリタイアしてますよね。
今そんな悠々自適なサラリーマンほとんどいませんよ。
増え続ける高齢者を支えるためにどんどん天引きされる社会保険料、
国民年金との境目がなんだかあやふやになってきた厚生年金、
薄く広くと言いつつ39歳以下からも徴収しようとしてる介護保険料、
まだ上がるであろう消費税、高収入世帯にかかる所得制限…現役世代が今抱える不安や制度への不信。
これらの原因は後期高齢者の社会保障です。
こんなことを言うとものすごく怒られます。何を言っているんだと。
国会議員の人数と歳費を減らして、防衛予算を減らせばいいじゃないかと怒られるわけです。
ここで前項のグラフを再掲します。

ロシアによるウクライナ侵略の影響で対GDP比2%になる10兆まで増やそうとしている最中ですが、
今の日本の防衛予算は約5兆円です。確かこの5兆の半分ぐらいは自衛官の人件費と聞きました。
ここに施設の維持費やら糧食やらでお金を使ったら実際に兵器を買えるのは1兆ちょいぐらい…?
なんにせよ護衛艦や戦闘機、装甲車とかミサイルを買うのに5兆は使えないわけです。
本当に繰り返しになりますが、後期高齢者医療費は毎年約20兆円です。
防衛予算の4倍ですよ。しかもあと3年でさらに5兆円増える見込み。
今後3年の後期高齢者医療費の増加分がまるっと防衛予算の金額なわけです。
ミサイルより福祉とか言っても増え続ける後期高齢者の医療費需要には防衛予算では全く足りません。
日本の国会議員は衆参合わせてだいたい700人。議員歳費は1人4000万円。
国会議員全員分のお給料でもたった280億円。このうち半分削ったって140億円にしかならない。
20兆オーバーという巨額の後期高齢者医療費の前には焼け石に水レベル。
今の社会保障制度はアツアツに焼けた巨大な石です。水かけても蒸発するだけ。
この制度を今の水準で維持する限りは現役世代のお金はただ蒸発して消えるだけです。
75歳以上の後期高齢者たちだって今の社会保障制度に不満はあるでしょう。
もっといい待遇を求める意見も見ますからね。でも今の制度は十分に高齢者に手厚いのです。
高齢者は自分たちの上の世代が享受していたものと同じか、より良いサービスを求めています。
この時点で後期高齢者はその他の世代に比べたらものすごく強者のポジションにいます。
既得権益層というと政治家や大企業の経営者が目の敵にされますね。金持ってる奴らのイメージ。
実際のところは後期高齢者も既得権益層なのです。
現役世代や若年層から金を巻き上げて自分たちのサブスク医療の原資にしている。
自分たちの資産は減らさず現役世代と若者からせびっているんですよ。
このしわ寄せはまさにそこに来ます。社会を支える現役世代と若者に。
その中でも立場の弱い人たち…シングルマザー、奨学金の返済に追われる大学生、そして子供たち。
この人たちこそが今の日本における弱者です。後期高齢者でも在日外国人でもなく。
こういう歪みは心と社会も歪ませます。
心を病んで自らを傷つけてしまう若者たちや、虐待やネグレクトの対象になってしまう子供。
十分な予算があればもっと彼らを救うこともできるはずです。
保育予算が2兆弱、教育予算が確か4兆でしたかね。
後期高齢者医療費をたった4分の1減らすだけでこの予算すぐ出るんです。
半分ですらない、75歳以上の老人に使う医療費を4分の1減らすだけでいい。
それだけで未来ある子供たちのために今以上の温かいバックアップができるんですよ。
こんな声も高齢者世代の前では消えてしまいます。
70過ぎの高齢者が言う「老後が心配で…」ってもはやコントですよ。
全てはこのツイートに集約されていると思います。
高齢者があまりに安く医療サービスにアクセスできてしまうことの代償をそれ以下の世代が払う。
この国に未来はあるんでしょうか。
自分は日本人ですからあると思いたいのですが、ないと考える人もたくさんいますね。
そう思うのも無理はないと思います。
寝たきりでも後期高齢者は税金と社会保険料で公に面倒を見てもらえる反面、
子ども食堂はNPOや民間団体が自発的にボランティアや寄付で細々とがんばっている。
これ…何か間違えてませんか?おかしくないですか??
自分にできることって何だ…?

世の中が平和でないと我々のような美容業界は繁盛しません。
だって美容室行かなくたって死ぬようなことないじゃないですか。生死に関わりがない。
娯楽は衣食住が最低限満たされてから生まれる『余り』とか『無駄』の部分の金遣いと言えます。
『無駄=ゆとり』なんですよ。ゆとりのある生活は豊かです。
ゆとりは社会が平和じゃないと生まれません。
この『ゆとり』の部分で、数ある娯楽の中からお客様が美容を選んでお金を使っていただく。
そういうお客様がおられることで美容業界は繁盛するんです。
仮にロシアなりどこか外国が日本に軍事侵攻してくるとしたらですよ、
日本国民は避難したり疎開したり死んでしまったり、あるいは志願して兵役に就くでしょう。
こんなときに『前髪しか勝たん』『髪質改善』にハッシュタグつけてSNSに載せるバカいないですよ。
シンプルに「今それどころじゃねぇだろ」ってなるじゃないですか。
余裕がなく切羽詰まったとき、こういうゆとりの部分は真っ先に削られます。
世界的には戦時下のところもありますが、幸いにして今の日本はまだ平時です。
平時であっても景気悪かったり生活苦しかったりすると同じように娯楽は削られます。
自分が使える自由なお金がないと思うと自然とそうなるものですよね。
先にまずはごはん食べなきゃ、寝床確保しなきゃってなりますから。
ゆとりの部分を削ってなお本来の衣食住にも事欠くと、そのしわ寄せは最も弱い部分に向きます。
そういった意味合いで言う最もゆとりのない弱者は…個人的には子供たちかなと考えますね。
それも本来いるべき自宅にも住めない子たち。児童養護施設の子供たち。
自宅にいたら衣食住のどれか、あるいは全部が満足でない環境の子供たちです。
自分は美容師なので気になってしまうことがあります。
あの子たちは一体どこで髪を切っているのか。
誰かがボランティアでカットしに行くのか、あるいは施設職員が親代わりにカットするのか。
実際に問い合わせてみました。



高齢者の施設にはボランティアカットに行く美容師もいるって話は聞くんですよ。
美容組合としてやってるところもあったり、店舗や個人でやってるところもあったり。
で、言い方あれですけどボケちゃったおばあちゃんなんかでもカットしてあげたりとか、
メイクしてあげたりするとすごく明るくにこやかになるらしいんです。
そういうのはテレビとか雑誌で見たことがあります。
年寄りでもそうなるなら…子供たちだったらどうだろう。
学校行ったら友達がカットしてきてたり、カラーしてきてたりするの見ますよね。
児童養護施設に入所している子供たちは、措置費というお金がお小遣いになっている…
と別の施設には書いてありましたし、この施設はそのお金で散髪に行っていると。
たぶんある程度の年頃になるとカットだけじゃない別のメニューもやりたくなると思うんです。
そのときにあのメニューやりたいけどお金がない…ってなることもあるのかなって。
だって普通の人でもそうなりますよね。金ないから無理だわーって。
ただ…いろいろな思いを持って生活している入所児童の子供たちが、
もし髪型を変えたり髪をきれいにできることで気持ちが明るくなれるなら。
それはきっと本当に素晴らしいことだと思うんですよね。
自分は美容師ですから、自分がいちばんできることってそこなんですよ。
そういう子供や若者たちが喜ぶ何かがしたいなってのは前から考えてたんです。
それもカットだけじゃない、カラーとか縮毛矯正とかそういうメニュー…
たぶんあまりやれる機会ないんじゃないのかなっていうのはずっと気になってて。
さすがに薬剤を伴うメニューは出張でやるのは厳しいので自店を使うことになるのでしょうけど、
そのときはもちろん施設に入所している子供たちに対しては無償で全然いいと思っています。
ただ、やはり全部をこちらの持ち出しでやるのは正直厳しいかなとも思っています。
うちもまだお店を開業したばかりなので特に…ですけどね。
こういうのって…クラウドファンディングで支援とか募ったら応援してもらえるんでしょうか。
こういうことでお金集めようとするのって…なんかちょっとね。
「お前が金欲しいだけだろ」「偽善者」って思われそうな気がするんですよね…。
自分は社会的意義をきちんと訴えることができていますでしょうか。