こんにちは。

西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの

小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

昨年始まったロシアによるウクライナ侵攻。

近年は途上国での内戦や、アメリカによる短期間の軍事作戦というのは時折ありましたけれども、

こういった形での国家間で行われる全面戦争は世界的に見てもなかったですよね。

もちろん当初はロシア自身ここまで長引くなどと考えもしてなかったわけですし、

最初は米欧どこだってウクライナに「神のご加護を」などと言って観てるだけ状態でしたからね。

まさかこんな1年以上も続くなんて誰も思ってなかったはずです。

良く言えばウクライナの善戦、悪く言えば戦線の泥沼化なんでしょうけども…

この戦争、どうしても自分はパチンコ屋でバイトしてたときのことを思い出してしまいます。

ウクライナの話となるとバイト先の休憩室での会話を振り返って考えずにはいられないのです。

パチンコ屋とウクライナって全く接点のないフレーズですけど…今回はそんなお話。

本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。

それではどうぞ。

とある日系イタリア人の話

 

【うつ病】逃げるってそんなに悪いことなの?【心の病】

  なんか今回のは話が重たいなって感じましたでしょうか…。 書いてる本人としてはそんなことないって思いながら書いてますので、 長くなりますが他の記事と同じようにゆ…

自分がパチンコ屋でバイトをするきっかけは上記の記事に書いてある通りなのですが、

美容業界から一旦離れたかったんですよね。そのときは。

もう今から7年前…2016年のことです。

そこのパチ屋でバイトし始めてから1年が経つかどうかという頃。

1人ちょっと変わったバイトの子が入ってきました。

いや…パチ屋でバイトする奴なんて自分含めてみんな変わったのしかいないんですけど、

そういう中でもその新人はちょっと変わってたんですね。

この世界どこでどう繋がってるかわかんないので、ここでは仮名で彼をマルコと呼びます。

 

彼は5歳でイタリアに引っ越してずっとイタリアで育ったのですが、おそらく両親どちらも日本人。

だけどほぼずっとイタリア育ちなので日本語がうまく話せず漢字も全然読めない。

見た目もイケメンからは程遠く、やつれて地味だけど前科2犯ぐらいありそうな囚人の如き顔立ち。

ほんとに見た目パッとしないんですよ。ボウズ頭のアジア人。

だけど普通に「時差があるからママと電話できなくて寂しい」とか言っちゃうし、

自分の買ってきたスペイン土産のクッキーを「これヨーロッパの味、うまい」だの何だの言って

周りの空気を読まずにほぼ1人で食い尽くす程度には中身はイタリア人。

嘘つかないし自分に素直でいい奴でしたね。すぐ辞めてったけど。

当時の自分より7〜8歳ぐらい年下だった青年マルコ。

なんで日本に来てパチ屋なんかでバイトすることを選んだのかはさっぱり不明だけど、

日本に来る前はヨーロッパで料理人をやっていたって言ってました。

そんなマルコとある日の休憩時間にしゃべった内容が今回のお話です。

 

「女の子がもったいない」

 

マルコが日本に来る前、仕事でロシアに行くことがあったようです。

料理人やってたって言うから仕事も当然レストランとかなんだろうと思うけど、

彼は鉄道や飛行機を使わずロシアまではバスで移動したと言っていました。

「バスに乗った。ウクライナからロシアまで」とカタコトの日本語で。

ウクライナでも仕事をしていたのか。単に金がなかっただけなのか。

なんにせよその仕事の出発地はイタリアではない別の国からだったようで、

到着地もモスクワではないどこかの地方都市…ロストフとかヴォルゴグラードだった可能性はある。

それで交通手段がバスになったのかもしれないけど、そのあたりの詳細は不明。

ただ、もしそのルートを陸路で移動したら…おそらく今最も激戦の地であるドンバスを通ったはず。

 

「はず」とは言いましたけどマルコはたぶんドンバス地方を通ったんだと思うんです。

彼が言うには途中で検問があったらしいので。

2016年はクリミアをロシアが併合してから2年後。

ロシア系住民の多いドンバス地方…今もよく見聞きする『ドネツク』『ルガンスク』のあたり。

ここを巡る情勢はその頃から大変に不穏で険悪なものになっていたのでしょう。

その検問でバスが止められたそうです。

全員バスから降ろされて、何か取り調べを受けたと言っていました。

取り調べに来た相手は大きな銃を持っていたとも言っていました。

マルコ自身は見た目がしょぼいアジア人で仕事も料理人なので早々に解放されたみたいですが、

彼がバスに戻るまでに歩いた道の横に大きくて深い穴があったそうで。

中は死体でいっぱいだったと。

性別も年齢も問わずに何人も殺されて棄てられていた、僕は見てしまったんだ…

いつもと変わらずカタコトな日本語でそんな内容の話を力説するマルコ。

で、棄てられていた死体の中には「かわいい女の子、きれいなお姉さんも何人もいた」とのことで、

続けてマルコはこう言ったんですよ。

 

「もったいない」

 

「お前それかわいそうの間違いじゃねえの?(笑)」って聞いたら、

「違う、きれいなお姉さん、もったいない」と改めて言う。

口説けなかったりイチャつけなかったのが残念だったんでしょうか。何てイタリア人だ。

「そこは嘘でもいいから悲しいかわいそうって言っとけよ(笑)」って自分はその時思いましたけど、

先程も書いた通り、2016年はロシアがクリミアを併合して2年ほど。

あれからさらに数年。

今はとてもじゃないけど(笑)なんてつけられない情勢になってしまいました。

いや…「今はそうなってしまいました」ではないですね。

現地ではその時点でもう惨劇が始まっていたんです。おそらく2016年よりも前から。

誰も笑えないような殺戮が。

 

その虐殺を行ったのは誰なのか

 

果たしてこの検問を行っていた連中はロシアがネオナチと呼ぶウクライナのアゾフ連隊なのか、

それとも親ロシア派がドネツクやルガンスクに作った自称『共和国』の側なのか。

どっちがやってたのかでここまでの話や今の戦争の受け止め方が変わる気もするのですが、

どちらだったのかは今となってはマルコにも自分にもわかりません。

マルコは早番だったしすぐ辞めてったから連絡先知らねえしな。困ったもんだ。

ただ…あのときパチ屋の休憩室で話を聞いたときにはもうドンバス地方では殺戮や惨劇が既にあり、

それから数年経てなお続いていたのだと。今に至るまでずっと。

こんなものが数年も続けば双方が不信と憎しみを溜め込むには十分すぎます。

もし親ロシア派のロシア系住民が好き勝手やってウクライナ人を蹂躙し続けていたのであれば、

ウクライナとしては何年も前から我慢の限界を優に超えていたことでしょう。

相手の出自はどうあれロシア側の兵や協力者は撃滅と殲滅あるのみです。

逆にロシアの目的が本当にロシア系住民の保護とウクライナの非ナチ化にあるのであれば、

アゾフ連隊の拠点であるマリウポリは徹底的に破壊しなければいけなかったんでしょう。

ウクライナから受けた積年の恨みを晴らして悪を目に見える形で成敗するために。

 

なんにせよ今は21世紀。

あんなに前時代的で露骨な侵略と非人道的な破壊を認めていいものでは決してないし、

到底許されるものではないのもまた当然のこと。

一体ロシアとウクライナはこの折り合いをどうつけていくのでしょうか。

折り合いがつくまでにあとどれくらいの惨劇があるのでしょうか。

クラウゼヴィッツは「戦争は外交の延長」と言ったとされています。

外交の延長であるから、戦争には『始め方』もあれば『終わり方』もあるとのことで。

ならこの忌まわしい戦争を始めたロシアは『終わり方』をいくつか用意しているのでしょうか。

キーウ陥落とウクライナの政権交代以外に何か別の『終わり方』を用意しているのでしょうか。

一方、侵攻を受けたウクライナは2014年以前の国境に戻すことを絶対条件にしていますね。

ドンバスだけでなくクリミアまで必ず取り戻すんだと。

ウクライナ側の『終わり方』がそこにしかないのであれば、折り合いなどつけようもありません。

ロシアに対する徹底抗戦と完全勝利のみです。

そうなるとこの戦争はまだまだ終わらないでしょうね。

どんどんと命がすり潰されていく戦争は直ちに止めなければならないのかもしれません。

ですが今もし停戦したら「侵略して優勢なまま終われれば他国の領土をぶん捕れるんだぜ」っていう、

暴力を背景にしたとんでもない収奪を認めることになってしまいます。

そんなことが許されていいわけがありません。

それが認められたら海に面した領土が欲しいって理由でボリビアがチリやペルーに侵攻もありですし、

中国が台湾や沖縄をぶん捕ることもOKになってしまいます。

イスラエルがエジプトからシナイ半島ぶん捕ったときも結局返還させられてましたからね。

ダメなものはダメなんですよ。

 

人命より尊いものはあるか?という問いかけ

 

かつてフォークランド紛争というものがありました。

アルゼンチンの沖に浮かぶイギリス領フォークランド諸島にアルゼンチンが侵攻した戦争です。

フォークランド諸島はイギリス領とは言っても本国から13000kmも離れた小さな島々。

アルゼンチンからは500km。イギリスからの距離に比べたらすぐそこ。

イギリス側の守備隊はわずかしかおらず、実際に島の総督府はアルゼンチンに一度は降伏しています。

攻め込んで占領してますからあとは外交交渉で調停に持ち込んだら俺らの勝ち…などと考え、

このときアルゼンチンは「さすがにイギリスでもここまで来えへんやろ」などと見立てたために、

フォークランド諸島は俺らのもんやと思っていたようでしたが…ここで誤算が生じました。

侵略されたイギリス側が本気で反撃してきたのです。

来えへんやろと思ってた奪還部隊がわざわざ13000km離れたイギリスから大量に派兵され、

国連でもイギリスは「アルゼンチン絶対許さん」的なスタンスを一切崩しませんでした。

イギリスがあまりにもガチギレしてたのでアメリカでも手に負えなかったのです。

このときのイギリスの首相はマーガレット・サッチャー。有名ですね。

戦争になることで当然ですが人命が失われることは想定されます。

イギリス議会でも「あなたは何人の人命を危険に晒すのか」と野党に詰められましたが、

ここでサッチャー首相は後世に残る名言で答えました。

 

人命に代えてでも我が英国領土を守らなければならない。
なぜなら国際法が力の行使に勝たなければならないからです。

 

こうしてイギリス側は犠牲者を出しながらもフォークランド諸島を取り返しました。

お読みの皆様も気付いたかもしれません。

今回のロシアによるウクライナ侵攻との共通点があるように感じませんか?

「相手弱っちいしちょちょいのちょいで勝てるやろ」とナメてかかった侵略者側、

「かわいそうやけどもう終わりやな」と眺めて調停を勧める国々、

想定に反したガチギレっぷりで徹底抗戦して戦況をひっくり返す侵略された側…。

ロシアにとっても世界にとっても覚悟を決めたウクライナの徹底抗戦は想定外だったはずです。

まさにサッチャー首相の立ち位置にゼレンスキー大統領がいるのです。

アメリカが開戦当初「ヤバそうだし無理ゲーだから亡命してきなよ」って心配して誘ったのに、

ゼレンスキーはそれを蹴りましたからね。

「俺らはみんなキーウにいる、逃げない」って。

ジョンソン政権のイギリスが早くからウクライナを全面支援したのもわかる気がします。

きっと侵略に立ち向かう指導者と祖国の姿が40年前の自分らとダブって見えたんでしょう。

まだ危ない時期なのにジョンソン首相はキーウに乗り込んで行ってましたもんね。

漢だよ。かっけぇよボリス。

 

日本にいると当たり前のように「人命は何よりも尊い」「人命は地球よりも重い」となります。

残念ながら地球上の国家のほとんどはそう思っていないんですよ。

おそらく人命が尊くないとは思っていないでしょう。

人命は尊いけど、それよりもっと尊いものがある…というだけの話なのです。

それを凝縮してまとめたのがさっきのサッチャー首相の名言になるんだと思うんですよね。

ただ、フォークランド紛争は今から40年以上も前の話。

21世紀の今…彼女の名言は今も名言たり得ているでしょうか。

ここに侵略にどう立ち向かうかが全ての人に問われているのです。

ウクライナが激しく抵抗して祖国を守ろうとすると失われる人命は増えます。

ですが、侵略してきた側がどれだけ人命が失われてもいいと思って突っ込んでくる場合…

明らかに人命を尊いなんて思ってもいないような勢力が敵になる場合ですね。

自分らは人命が何より大切でもそんな相手に折れて停戦することが果たして正しいのでしょうか。

人命を尊いと思っていない勢力に降伏して、果たして彼らは我々の人命を尊重すると信じられますか?

サッチャー首相の名言が名言として生きているうちは、まだ世界は脅威に晒されていると思います。

『天は自ら助くる者を助く』のです。

1982年のイギリスと今のウクライナがそれを証明していますから。

戦後およそ80年。日本はここに真正面から向き合わなければならなくなりました。

日本は同盟国の救助や支援を待つ以前に、まず自らを助くことができるのか。

自ら助くることを諦めた国を助ける国は出てきません。

この戦争が少しでもマシな終わり方をするために自分はウクライナの善戦を願います。

 

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