今回の記事内容のまとめ

  • ボランティアカットは老人ホームばっかり、子供たちの為に以前から何かしたかった
  • 児童養護施設の子供たちがお世辞じゃなく本音でみんないい子たちすぎて驚く
  • 子供とはいえ小学生以上は毛量も長さも十分すぎてカットは切り甲斐がありすぎ

 

こんにちは。

西宮・夙川にある「マンツーマンでお客様の髪のお悩みに真剣にお応えする」がコンセプトの

小さなプライベートサロン【Ricos】の佐久間 将でございます。

2023年になりました。あけましておめでとうございます。

Ricosもオープンから半年ちょっと過ぎまして…無事に新年を迎えることができました。

ご来店くださったお客様はもちろん、このブログを読んでくださっている皆様、

そして当店に興味を持ってくださった皆様のおかげです。

本当にありがとうございます。

 

これだけの過当競争ですからね、美容業界。

無事に半年とか1年続かない店とかもあるわけですよ。

でも、まだまだこれからのお店です。

今年もご来店くださったお客様に「来てよかった」「また行きたいな」と思っていただけるような、

まだご来店されてないお客様に「この店行ってみたいな」って思わせられるような、

まだ当店をご存知ない皆様に「こんなお店あるんだ」って気に留めてもらえるような、

そのために全力で取り組んでいく一年にしていきたいと思っております。

どうぞ本年もよろしくお願いいたします。

 

さて。今回のタイトルですよ。

児童養護施設へのボランティアカット。新年最初の記事はこの話から始めたいと思います。

本日も拙文をご高覧賜りましてありがとうございます。

それではどうぞ。

 

なぜ児童養護施設にしたのか

老人の国ニッポンで子供たちのためにできることって何だろう

  日本が高齢者ばかりの国というのは誰もが知っていることですね。 ご老人は大切にとは言われていますけれども、今やどこも老人ばかり。 その対極にいる子供たちの世代の…

 

ボランティアカットの行き先に児童養護施設を選んだ理由はこちらの記事にも少し書きました。

記事でも少し触れましたが…高齢者サブスク医療見直し(社会保障費削減)の声が広まってますね。

最近は各界の著名な方もじわじわと、少しずつ声を上げていて大変いい流れと思います。

で、高齢者向け施設にはわりとよくボランティアカットに行く美容師多いんです。

美容組合から声がかかって、各サロンで行く人を募って…って流れで。

昔勤めてた職場でも組合からのそういう呼びかけは定期的にありましたね。

そうやって上のほう主導で老人ホームへのボランティアカットってのは既に行われています。

…児童養護施設に行くって話ほぼ聞いたことなかったんです。

訪問先はいつも決まった老人ホーム。

たぶん他の地域の組合もそんな感じだろうと思われます。

だからこんなん言ったら怒られるかもですけど…ジジババはもういいでしょうと。

定期的に誰かが訪問カット行くスキームできてるわけですから。もういいでしょって。

それに実際に現場でカットに行く美容師はボランティアですけど、組合は金もらってるんですよ。

訪問先の施設から。そこボランティアじゃねえのかよ。

そういう不満もあるわけです…24時間テレビ観てて思うような、もやっとした不快感。

だったら組織じゃなくて自分ひとりで、老人じゃなくて子供たちのためになることをしようと。

ジジババだってカットされたりメイクされたら喜ぶし笑顔になるんですよ。

それを子供たちのためにしたい。そういった理由です。

ただでさえ子供向け福祉はボランティアや寄付頼みで、公助よりも自助の比重が高いんですから。

自分も未来ある子供たちのためになることを何かしたかったんです。

 

実は前からやってみたかったんですよ

そういった思いは実はけっこう前からありました。

ただ、それができなかった。

よく「できない言い訳を考えるよりできる理由を考えろ」とか言いますが、無理なものは無理です。

これまでできなかった理由を書いていきます。

 

・疲れてた

そんなくだらないことが理由かよ、と思われたかもしれません。

ですが美容師は身体が資本の体力勝負な仕事です。

業務委託で働いて、ほぼ毎日半日以上は入客して施術。

30代半ばでこれけっこうきついんですよ。今後もその働き方ができるとは思えませんし。

開業前に勤めてた職場は休みは週1でしたし、入客も掛け持ちで毎日10~14人。

ここ数年は毎年必ずぎっくり腰にもなってました。本当に毎年。

だから休みの日は整体に必ず行ってました。それでも去年ヘルニアって判明しましたしね。腰の。

なので休日に何人もカットなんてやりたくなかったんです。

相手が誰であってもカットするなら普通にいつもの仕事と変わらないですからね。

数少ない休みの日に金にもならないのに仕事なんかやるかよって話です。

疲れてるんだからそれより休ませろと。

自分は聖人君子などではなく単なる人間です。

体力的な余裕もないのに献身的な奉仕活動なんてするわけない。

優先順位は自分自身のほうが明らかに上です。生活かかってますから。

働いて稼がないといけませんし、自分にも家庭がありますからね。

 

・時間がなかった

この『ザ・無能の言い訳ナンバーワン』みたいな理由。

ほんとにね、よく「時間ないとか言わずに作れよ」って言いますよね。

とは言うものの…他に優先すべき事柄がもちろんあるわけですよ。

休日に限らず普段からできる範囲で家事はしますし、休日であれば整体だの買い出しだの…

そしてこれが最も大切なのですが…自分の子供たちとの時間。

休みの日ぐらい自分の子供と遊びたいじゃないですか。子供との時間欲しいじゃないですか。

まずは自分の家族ですよ。当然そちらを優先します。

 

・コロナ禍

これはこの3年ぐらいずっとそうだったんでしょうけど、そもそも受け入れをしていない。

部外者お断りのケースすごく多かったですよね。

病院、介護施設、そして学校。

今回行った児童養護施設も、コロナ流行ってからそれまで来てた人をお断りしてたって言ってました。

先方が断るんですから致し方ありません。

 

こういった理由が今は改善されたわけです。

独立開業することでお客様を次から次へと捌く仕事をしなくなって体力的な余裕も生まれました。

誰も雇用しない1人営業なので時間にある程度の融通も利くようになりました。

そして世間の新型コロナウイルスをそれほど恐れなくなった空気。

条件がようやく整ったんです。であれば行動に移したい。

なのでこちらから直接施設側に連絡を取りました。待っててもそんな連絡来ませんからね。

何ヶ所か連絡を取り、今回受け入れてくださった施設さんとのご縁をいただくことができました。

施設名出す許可取ってないので伏せますが…本当にありがとうございます。

ちなみに児童養護施設にカットしに行く場合、行政に許可を得る必要のある地域もあるようです。

調べたところ兵庫県のこのあたりは平気だったのですが…

もしされようとお考えの美容師さんおられましたら一度調べてみてから始めることをお勧めします。

 

実際に行ってみて思ったこと

 

先月、実際に訪問しました。こんな感じでカットしてました。

入所児童さんの顔は絶対に出すわけにはいかないので、写真はこれが限界です。

施設の職員さんにお願いしてご協力いただき撮影いたしました。

 

大抵の人にとっては児童養護施設って日常の生活で訪れることのない場所。

もちろん自分もそうでした。

なので児童養護施設というところに行ったのは今回が初めて。

訪れて最初に思ったのは、どの子も本当に皆しっかりと大きな声であいさつができること。

あいさつって大事ですよね。学生でも社会人でも。

基本であるだけに疎かになりがちだったり、子供なら恥ずかしくなったりもすると思うのですが、

どの子たちも本当にあいさつがちゃんとできる。とても感じがよかったです。

 

今回カットさせていただいたのは全員が小学生でした。

よく話してくれる子もいましたし、恥ずかしいのかまだ警戒してるのか…静かな子もいました。

でも総じてどの子供たちもカット後の笑顔が明るかったです。

もちろんカットする前は近くにいる友達と楽しく笑顔でしゃべってたりしてましたよ。

それは当たり前だと思うんですけど、カット終わった後ですよ。

前々項でジジババもカットしたら笑顔になるって書いたじゃないですか。

子供たちもやっぱりカット終わったらすごく喜んで笑顔になってくれたんです。

そんな笑顔を見ると「あー、来てよかったな。やってよかったな」って本当に思えます。

今回カットした子のうちの1人は、切り終わってから一旦部屋に帰ってから手紙を書いてくれました。

大人になると子供たちのこういう優しさってすごく心に来るものがありますよね。

自分に子供ができてからなおさらです。

このお手紙は店のバックルームの…自分の視界に入るところに大切に置いてあります。

ほんとね、そのへんのショッピングモールとかファミレスとか行ったらですよ、

言っちゃ悪いけど…すげえクソガキがはしゃぎ回ってたりするじゃないですか。

そんなクソガキより施設の子供たちのほうがよっぽど、よっっっぽどいい子たちでしたね。

入所児童は自分なんかが触れるに触れられない複雑な環境を経験した子たちでしょうけど、

あの子たちも接すれば普通の子ですよ。むしろ普通の子よりもいい子。

だから自分としてはあんまり『施設の子』っていう言い方はしたくないんですよね。

 

で。

これは今回初めてカットして気付いたのですが…みんなすっごいばっさりカットなんですよ。

よくよく考えたら当たり前ですよね。切る人いないわけですから。

普段はね、伸びきっちゃった髪の毛を施設の職員さんが切ったりしてるんでしょうし、

どこかの理美容室で若手のカットモデルになったりしてるって聞きましたし。

そういう子たちの髪をかわいく、かっこよく切ってあげる役割が自分には求められているわけで、

だからそこは最初に気付くべきだったんですよね。そりゃそうだよなって。

その日カットする子は職員さんが判断して選んでました。

選ぶ基準が「さすがにこの子そろそろ切らないとまずいな」っていうレベルかどうかなんですよ。

言葉でそう言ってたわけじゃないですけど、横で見てて明らかにそう。

背中ぐらい長さある子がボブに…ってのが実際3人ぐらいいたんですよ。しかも多毛。

これ営業でもちょっと時間かかるやつじゃん。

とても切り甲斐のある子たちばかりでした。それはそれで楽しいんですけどね。

 

あとね、想定外だったのは脚の筋肉痛。

切る部屋は職員さんが事前にブルーシート敷いてくれたり準備してくれてました。

ありがとうございます。大変助かりました。

でもカットチェア持って行けないから基本的にほぼずっと膝立ちで切ってたんです。

膝ね…めっちゃ痛いんですよ。

床が硬いだろうことはわかってたのでそれは別に想定の範囲内だったのですが、

ずっと膝立ちでいることで太ももの筋肉をこんなに使うのかっていうことを痛感。

帰りちょっと下り坂あったんですけど、笑っちゃうぐらい膝ガクガク震えてるんですよ。

ハイキングとかでちょろっと山に登ったりしてもここまでにはならないのに。

結局その後1週間ぐらい脚痛かったです。普段の立ち仕事で使わない筋肉だったんでしょうね。

 

もちろん膝やら脚が痛いぐらいでやめようというつもりはありません。

一度やったから満足してもう終わりにしようとも思いません。

この活動はこれからも続けていこうと思っています。

子供たちの笑顔は本当にうれしかった。

あれだけでも十分に活動を続ける意義があるってもんです。

なので次行くまでにクッション素材付きの膝サポーター買おうと思います。